戦後の文学と思想に巨大な足跡を残した詩人・評論家の吉本隆明さんが3月、亡くなった。幅広い分野に及んだ仕事はどんな特徴をもち、60年を超える文業はいかなる変化をたどったのか。社会学者の橋爪大三郎さん、詩人・小説家の松浦寿輝さん、文芸評論家の田中和生さんの3人に、縦横に語ってもらった。【構成・大井浩一、棚部秀行】 ◇異なる二つの要素を抱え−−橋爪さん ◇文学に奉仕する視線一貫−−田中さん 橋爪大三郎さん 吉本さんの逝去を聞き、私に近い世代の人にはそれぞれ自分なりの受け止め方があると思います。でも、若い世代はピンとこなかったり、よしもとばななさんのお父さんというイメージしか湧かなかったりするだろう。世代間のギャップが大きいのを感じます。