『この世界の片隅に』:台無しにされた人生の夢 モーリス・シャピュイ このすばらしいアニメーション映画で、片渕須直は、戦時下日本における夢想家とは何かを問うている。 細心の注意を払って町や建物や時代やそこに生きる人々の仕種を忠実に再現している『この世界の片隅に』は、単なる自然主義の名作映画に見えるかもしれない。しかし、この映画は、それ以上にはるかに野心的な映画である。もちろん、百貨店のひとつひとつの店構えの細部は素晴らしく、片渕須直監督は、あのリアリズムに到達するために資料を何箱も何箱もひっくり返した。しかし、このことによって忘れてしまうかもしれないが、この映画がとりわけ人の心を打つ理由は、映画を貫き、映画に命を与え、同じように若いすずの心を揺さぶった情熱的な疑問である:夢が何かの役に立つのか、兵器の音が轟く中で想像力に何の価値があるのか? ゆえに、『この世界の片隅に』は、優しく若い男性と思