理想との乖離 日本社会には階層的制約はなく機会均等が実現しているという考え方が浸透しているが Diane Labombarbe-iStock. 近代より以前の社会では、人間の人生は「生まれ」によって大きく制約されていた。親の職業を継ぎ、生まれた地で生涯を過ごす人が大半だった。 近代以降の社会では、当人の能力による社会移動(social mobility)の機会が高くなっている。属性主義から能力(業績)主義への転換だ。 しかしそれはあくまでも理念(建前)であって、現実がそうだとは限らないし、そのレベルは国によっても様々に異なっている。 【参考記事】日本男子「草食化」の背景にある経済格差 2009年に各国の研究者による調査グループISSPが実施した『社会的不平等に関する意識調査』では、社会的成功のためには「裕福な家庭に生まれること」と「高学歴の親を持つこと」がどれほど重要と思うか、尋ねている。