哲学者のジュディス・バトラー(66)は今から32年前に『ジェンダー・トラブル』を発表し、ジェンダーに関する新たな視点「クィア理論」を展開した。そして、フランスの哲学者シモーヌ・ド・ボーヴォワール(「人は女に生まれるのではない。女になるのだ」)が開拓した道を辿り、バトラーは「流動的なジェンダー」という概念を導入した。 【画像】ゴージャスな衣装でデモに参加するトランスジェンダーの人々 このカリフォルニア大学バークレー校の教授には、パートナーの政治学者ウェンディ・ブラウンとのあいだに息子が一人いる。そしてカリフォルニア州は、バトラーが女性でも男性でもないジェンダー「ノンバイナリー」であることを認めている。 またユダヤ人のバトラーは、生まれる前に母方の親族の大部分をホロコーストで失っていた。バトラーはパレスチナに対するイスラエルの姿勢を批判し、イスラエルへの入国を禁じられたりと、国家が行使する暴力