「栄養学を拓いた巨人たち」は、栄養学の歴史を人物史を通じて紹介していく本。そう堅い内容の本でもなく、研究とは直接関係の無い愛憎も紹介されるが、著者の杉晴夫氏が科学者だけに、新発見をどうやって得たか研究手法の紹介にページが割かれており、中高の理科の補助教材としてもお勧めできそうな内容になっている。また色々な失敗談が詰まっており、科学研究にまつわる教訓談としても読めるはずだ。 興味深い逸話だらけで何を紹介すべきなのかも迷うが、第3章の最初に紹介される壊血病からして興味深い。中世には壊血病は良く知られた病気で、柑橘類をとることで予防できることは実は知られていた。しかし、必ずしも柑橘類をとれば予防できるとは限らないことから、その不足が原因だと認識されたのは、ずっと後であった。さらに柑橘類の中にあるビタミンCが洗い出されるまでは、もっと時間がかかった。実験動物のネズミはビタミンCを体内で合成できるこ
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