「源氏物語」をテーマに行った セミナーの下準備をしているとき、 私は河合隼雄さんの本に出会いました。 「源氏物語」を、光源氏の物語ではなく、 紫式部の自己実現の物語だと語った、 「紫マンダラ」という本です。 私は「源氏物語」を、 今まで一度も読んだことがありませんでした。 学生時代に先生に聞いた話によると、 光源氏は相当の女たらしである― ということだったので、 決して手に取ることはないだろうと 全く興味をもちませんでした。 今年は「源氏物語」の生誕1000年ということで、 それを機に、お知り合いのIchi-Nさんから 「紫マンダラ」を教えていただきました。 展覧会では国宝といわれる 数々の「源氏物語」にまつわる 至宝を目にし、 紫式部を一人の人間として 身近に感じることができた― この3ヵ月は、自分にとって本当に 貴重な時間だったと思います。