「ポジティブな言葉や空気がしんどい」この気持ちをどうすればいい?僧侶・藤田一照さんを訪ねて、すこし救われた話/生湯葉シホ 「みんなで力を合わせてコロナに打ち勝とう」 「このピンチをチャンスと捉えることで、社会に希望が生まれるはず」 コロナ禍が私たちの日常を襲ってから、街中の広告やSNS上でそんな言葉を頻繁に目にするようになった。つらい状況だからこそ、励ましの言葉を必要としている人がたくさんいることは日々実感している。けれど私は、前向きな言葉を見るたびに、正直に言えばどこかモヤモヤとした気持ちを抱いてしまう。 常にマスクをしていなければいけないこと。人に気軽に会えなくなってしまったこと。去年からシャッターを下ろしたままの飲食店のこと……。いまたしかに存在しているいろいろなしんどさが、分厚い布で強制的にぐるっとくるまれてしまうような暴力性を、ポジティブな言葉のなかに感じとってしまうことがあるの