夜になると涙がぼろぼろと出る。三月に入ってからずっとだ。自分のどこにこんな水分があったのか不思議な程に。 まるで幼い頃に戻ったようだなと思う。小学校低学年のときはよく泣いて周りを困らせていた。本当にいつも泣いていた。今よりも臆病で、些細なことがとても怖かった。 それも中学に入ってからは減っていったが、その代わり人のいないところで泣くようになった。当時の私は家のことでかなり気を病んでいて、ずっと息苦しかった。 毎晩咽ぶ声で枕を濡らし、二階の自室から飛び降りようと窓枠に足をかけたことも一度や二度ではない(その度に思い留まっているわけだが)。 今の道に進み、いつか一人で生きていこうと決めたのもその頃だった。 高校もその後の進路を視野に入れて選んだ。勉強は三年間真面目にやった。血眼だった。ただ、その頃にはもう人前では一滴の涙も出なくなっていた。ぴくりとも動かない涙腺に、人前でも感情のまま泣くことが
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