先月公開された『シン・エヴァンゲリオン』を観るにあたって、アニメ素人の自分が旧作や新劇場版を観返す日々が続いていたのだが、全編にわたり「総力戦」という言葉がチラホラ出てくるのがなんとも気になった。「総力戦」というのは、軍事力だけでなく、科学・経済・思想に至るまで国の持てる力を統制・総動員して闘う、ということだ。実際、『エヴァンゲリオン』はそうやって使徒と戦う姿を、わりと具体的に描いている。電力を集める「ヤシマ作戦」などが典型だ。そんな物語が生まれて10数年後、2011年には現実の日本で「電力を調整するために節電を行う」という状況が発生してしまい、すかさずインターネットに「ヤシマ作戦」という言葉が飛び交ったのは記憶に新しい。しかしエヴァンゲリオンが電力で動いているんだというのも「それはそうか」という感じではあるが、インフラ状況を克明に描きたがるフェティシズムのような感覚が垣間見られて、僕は観