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ブックマーク / cruel.hatenablog.com (11)

  • ポランニー『ダホメ王国と奴隷貿易』全訳終わった - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary タイトル通り、ポランニー『ダホメ王国と奴隷貿易』の全訳がおわりました。 先日、半分まで終わったポランニー『ダホメ王国と奴隷貿易』 cruel.hatenablog.com 全部終わった。 カール・ポランニー『ダホメ王国と奴隷貿易』(全訳、pdf 4.8MB) まあ、こうさ、訳してもさ、どうせだれも読みはしないんだよね。「スゲー」とか「感謝」とかコメントはつくんだけどさ。まあ君たちのためにやってるわけじゃないのでいいんだけど、ときどききょむかんはあるよな。でも、おもしろいよ。 書き方は下手クソで、おんなじ事何回も言っててアレだ。もう少し長生きしていればきちんと手直しできたのかも、でもなかなかおもしろいし、しょせんこの仕組みが一過性ではあったことは、ポランニーも認識しているんだね。現代世界でこんな仕組みが成り立たないのは、彼も知っている。その一方で彼は市場経

    ポランニー『ダホメ王国と奴隷貿易』全訳終わった - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ロシア帝国300周年記念に寄せて (2022/02/04): ロシア停戦交渉団親分の「帝国バンザイ!」 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    我らが偉大なhicksian 様のこのツイートで紹介されていたブログ記事、とてもおもしろい。 broadstreet.blog この著者はMITのソ連ロシア史教授、エリザベス・ウッズ。プーチンは、ヒル&ガディの現時点ではベストなプーチン伝「プーチンの世界」で紹介されている、「プーチンは歴史の男だ」というまとめを敷衍して、その「歴史」というのがおとぎ話に近いネトウヨ妄想なのだ、という点を指摘している。 プーチンの世界―「皇帝」になった工作員― 作者:フィオナ・ヒル,クリフォード・G・ガディ新潮社Amazon このブログでは、その妄想ぶりについてかなり細かく指摘されているけれど、基的にはこれまでしょっちゅうお目にかかった、大ロシア帝国復活こそが歴史的必然であり、民族の悲願なのであり、それを西側がじゃましくさっておるのよ、という話。いやそれよりひどくて、ロシアは昔から、優しい民主的な共存共栄の

    ロシア帝国300周年記念に寄せて (2022/02/04): ロシア停戦交渉団親分の「帝国バンザイ!」 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ロシアの攻勢と新世界の到来 (2022/02/26): 侵略成功時のロシアの予定稿 全訳 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    訳者まえがき まちがって公開されたとおぼしき、ロシアウクライナ征服に成功していた場合のロシア国営通信 RIA予定稿の全訳。すぐに引っ込められたが、Wayback Machineにしっかり捕捉されていた。すごい代物。いくらでも言いたいことはあるが、読めば多くの人は同じことを考えるだろうし、ある100年近く前のドイツの人が書いた文章との類似も明らかだとは思う。 以下のツイート経由で存在を知った。ありがとうございます! 1 “The resolution of the Ukraine question.” A mistakenly published Russian article gives us a chilling insight into the neo-imperialist thinking in Russia that drives Putin’s decision to inv

    ロシアの攻勢と新世界の到来 (2022/02/26): 侵略成功時のロシアの予定稿 全訳 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • キューバの経済 part 4: 社会主義/共産主義経済の全体像 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    1. キューバ再び:経済危機のさなか さて久々にキューバにきているのだけれど、キューバはいますごいことになっている。まず、アメリカの制裁がどんどん厳しくなり、各種の船はキューバに寄っただけで嫌がらせされ、キューバへのフライトもどんどん潰された。おかげで観光客は激減。FDIもやたらに支障をきたす状態。料やガソリンの不足はとんでもない状況だ。 さらにコロナ。2020年夏に、一時抑え込んで、われコロナに勝利せり、と叫んだらすぐに第二波がはじまり、さらに今年に入って爆発。人口一千万強のキューバで、一日千人規模……だったのが6月にさらに爆発して一日三千人の新規患者数だ。おかげでレストランはテイクアウトのみ。夜8時から朝5時まで外出禁止。 さらにトランプがイタチの最後っ屁で、今年一月にキューバをテロ支援国認定してしまったので、特に銀行のドル送金ルートがほぼ完全に断たれてしまった。キューバ相手のドル取

    キューバの経済 part 4: 社会主義/共産主義経済の全体像 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • AI ハリー・ポッターの衝撃 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    『ハリー・ポッターと巨大な灰の山らしきものの肖像』 AIにハリポタ全巻喰わせて、新作を生成させたそうな。まあご覧あれ。 Botnik Studios こいつを見て、あまりに感動してしまいました。この支離滅裂、異常な構想力、唐突な破綻ぶり。デスイーターたちが何だか知らないけど無意味にやおいらしきものを始めるところ。人工知能には創造性がないとかいっている連中がいるけれど、これでも、あるいはアルファゼロの囲碁でもそうだけれど、むしろ人工知能が明らかにしているのは、ぼくたち人間の知能や創造性と称するものがいかに制約されていて、型にはまっているかということだと思う。ウィリアム・バロウズが人間の矮小な構成力とキャパシティでほんの片鱗だけやってみせたことを、人工知能は鼻くそほじりながら(比喩的に)一瞬でやってのけている。 追記:このプロセスについてもう少し詳しく見た人がいる。これは当にほぼカットアップ

    AI ハリー・ポッターの衝撃 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • マカオのカジノは貧乏人で儲ける - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    もうずいぶん昔から、日にカジノを作ろうとかいう話があちこちで取りざたされていて、オリンピックが決まったのを期に外国人から金をむしれるようにあれこれ、という話も最近はよく耳にする。で、The Economist にアジアのカジノに関する記事が出ていた。 The Rise of the Low Rollers (The Economist, 2013/9/7 pp.53-54) たーいへんに面白いっす。基的には、アジアにもどんどんカジノが今後できるみたいだよ、という記事なんだが、でもその中でもマカオがすごい、という話。やっぱり、ばくちが好きなのは中国人。それと土でつながっているのが何よりのメリット、ということで、さらにいまや香港空港とマカオを橋で直結する計画が進んでいて(ええっ、珠江の河口を横断するの!!??)、またマカオの隣の広東省の島 (横琴) がいまやカジノ特区でマカオのカジノはそ

    マカオのカジノは貧乏人で儲ける - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • あらためて、オリンピックに経済効果なんかないこと。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    昔、Voiceに、オリンピックに経済効果なんかないし、無理して誘致すべきでない、というコラムを書いた。 オリンピックには経済効果なんかありません。(2007/05) 2007年の話で、ここで話題にしているのは、2016年リオデジャネイロオリンピックが選ばれたときの話。ぼくが言ったとおりアメリカ大陸になったでしょー。 で、その中で話題にしている研究というのは、以下のものだ。 Jeffrey G. Owen (2005) "Estimating the Cost and Benefit of Hosting Olympic Games: What Can Beijing Expect from Its 2008 Games?" The Industrial Geographer, Volume 3, Issue 1, p. 1-18 こうやっても君たちは読まないだろうから、ざっと訳してあげまし

  • セミョーノヴァ『ロシアの宇宙精神』:変態だー!! 「屍者の帝国」ディープな読者必読! - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ロシアの宇宙精神 作者: スヴェトラーナセミョーノヴァ,ガーチェヴァ,西中村浩出版社/メーカー: せりか書房発売日: 1997/01メディア: 単行購入: 6人 クリック: 334回この商品を含むブログ (3件) を見る 「屍者の帝国」で、カラマーゾフ兄弟のところにいったワトソンが、カラマーゾフの師匠筋のフョードロフの話をきかされて、なぜゾンビ軍団を作らねばならないかという説明で全死者の復活がどうしたこうした、という話をされる部分がある。 ぼくは教養人なのであのに出てくるネタはだいたいわかるのだが、このフョードロフねたは知らなかったので、ちょっと悔しかったのと、あと別方向で見ていた「ロシア宇宙開発史」にちょっと出てきたソロヴィヨフがこのフョードロフの弟子筋だという話を知ったのと、ついでにいま作業がほぼ終わりかかっているロシア革命関連の話で出てくるボグダーノフが、なんかこの系譜に連なると

    セミョーノヴァ『ロシアの宇宙精神』:変態だー!! 「屍者の帝国」ディープな読者必読! - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • セン『正義のアイデア』:ホントならちゃんと紙面で書評して人に読ませるべきえらい本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    正義のアイデア 作者: アマルティアセン,池幸生出版社/メーカー: 明石書店発売日: 2011/12/01メディア: 単行購入: 35人 クリック: 1,631回この商品を含むブログ (30件) を見る 正月はさんで、えらくバタバタしていてちゃんと見ていなかったが、このセン『正義のアイデア』はどっかでだれかが当然採り上げているだろうと思って今日になってチェックしたら、なんとまったく出てこない! !!??と思って書評候補書の一覧を見直しても、そもそも出ていない! なんでや! 朝日新聞ともあろうものが、見落としひどすぎだろー……と思ってよく考えて見たら、これは朝日新聞のルールのせいだ。同じ著者のは一年だか半年だかの間には一冊しか扱わない! そして、姜尚中が『アイデンティティと暴力』の書評を書いてしまっているので、この書評の候補にはあがってこない。 えーい、姜尚中め余計なことを! だい

    セン『正義のアイデア』:ホントならちゃんと紙面で書評して人に読ませるべきえらい本。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 日本の優位性がホスピタリティ産業、ですって? ご冗談を。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    こんな文を観て、経団連についてのグチはわからんでもないながら、その後の提案にがっかり。 製造業の代替産業として、ちきりんが一番可能性があると思っているのは「ホスピタリティ産業」です。 高いサービスレベル、正確なオペレーション、気持ちの良い対応、そういった“おもてなし”系のスキルが中心価値のひとつとなり得るホスピタリティ産業には、様々な分野が含まれます。 旅行業、小売り業、外産業、調理法、輸送・配送業、美容業界、事務手続き業、修理業、クリーニング業・・・、どれもこれも「モノを作っていない産業」です。昭和のおじさんは、日の「モノ作り産業」に競争力があるといいますが、ちきりんから見れば、日はこれらの「モノを作らない産業」も相当すごいです。 しかもこれらの産業の多くは、「ニッチなグループの中での高付加価値」ではなく、規模を追求することに経験と親和性があります。多くの小売り、外産業はチェーン

    日本の優位性がホスピタリティ産業、ですって? ご冗談を。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ケインズ「一般理論」間宮陽介訳(岩波文庫):古い、英語知らない、原文勝手に改ざん。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    雇用、利子および貨幣の一般理論〈上〉 (岩波文庫) 作者: ケインズ,間宮陽介出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2008/01/16メディア: 文庫購入: 8人 クリック: 296回この商品を含むブログ (54件) を見る 見るまでもないと思っていたが、行きがけの駄賃。目を通し始めたが、ふ、古くさい! かたい! 「泥んでいる」(p.xiii) って、ぼくは読めなかったぞ(「なずんでいる」と読むんだって。原文は wedded)。あと第一章で「a limiting point of the possible positions of equilibrium.」となっているlimiting を、極限と訳すのは変じゃないかなあ (p.5)。 と、少し????マークが頭に浮かび始める。で、パラパラめくるうちに目についたもの。p.317 に対する訳注で 「原文は the power of disp

    ケインズ「一般理論」間宮陽介訳(岩波文庫):古い、英語知らない、原文勝手に改ざん。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
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