炭素でできた極小の素材「カーボンナノチューブ」に近赤外線を照射して活性酸素を効率よく発生させ、がん細胞を死滅させることに京都大の村上達也助教(細胞工学)の研究グループが成功、19日発表した。医療技術への応用が期待される。米化学会誌の電子版に近く掲載される。 カーボンナノチューブに光を照射すると、熱や活性酸素が発生することが知られており、がん治療の可能性を探る研究が各国で進められている。 グループは、赤外線の一種で、透過性が高く人体への影響が比較的小さい「近赤外線」を利用することを考案。さらに、カーボンナノチューブの中でも「半導体性」と呼ばれる性質を持った部分だけが近赤外線を吸収して活性酸素を出すことを突き止めた。 そこで、この成分を分離・濃縮し、ヒトの肺がん細胞と混ぜて近赤外線を10分間照射したところ、熱による影響も含め45%の細胞が死滅したことを確認した。 村上助教は「微量のカーボンナノ
薄めたアルコール(エタノール)で土壌中の病原性微生物を死滅させる新技術を、農業環境技術研究所(茨城県つくば市)などが開発した。農薬を使わないため環境に優しいとしている。効果は実証済みで、家庭菜園でも活用できる。マニュアルを7日、ホームページで公表した。 キュウリやトマトなどの栽培では、連作障害を防ぐため土壌消毒が欠かせないが、農薬を作付けごとにまく必要がある上、無害な微生物も減らしてしまう。 農環研が開発した手法は、濃度1%のエタノール水溶液を農地にまき、農業用ポリエチレンシートで2週間覆う。この間に、エタノールを餌にする微生物が増え土壌中が無酸素状態になる。この過程で、土壌から溶け出した鉄やマンガンなどの金属イオンと、微生物が出す酢酸などの有機物が、根腐れ病などを起こす病原性微生物を死滅させるという。 神奈川県農業技術センターがキュウリで試したところ、1度の散布で3回まで連作しても、同じ
<sui−setsu> 日韓通貨交換(スワップ)協定の拡大措置の破棄を求める声が強まっている。李明博(イミョンバク)韓国大統領の一連の外交上の非礼への対抗措置だ。 さてどうなのだろう。国際金融外交の舞台回しを長く務め傾聴すべき見識を有するX氏に聞くと「破棄あるべし」と言う。このひとは昨年、韓国の危機に際し、スワップ拡大の緊急性を当局に説いた人だ。だから意外だった。 ご存じのように、日韓スワップ協定は形こそ相互に緊急融資枠を設定する取り決めだが、実際は韓国の通貨危機への備えである。 昨年秋、欧州危機のあおりで韓国ウォンが売られ、韓国は通貨危機の瀬戸際に追い込まれた。それを救ったのが日韓スワップ枠の拡大だ。韓国への緊急融資枠を130億ドルから700億ドルに大幅増額した。日本が韓国を支援する意思を明確にしたため、市場は韓国を標的からはずした。 韓国財務省(企画財政部)には、この日本の計らいに感謝
「論文を書く能力がないのに名誉欲はあって、見せかけの業績で教授になった人なんていっぱいいる」。元東邦大准教授(52)の麻酔に関する研究論文172本が捏造(ねつぞう)と認定された問題を取材する中で、ある大学病院関係者が放った言葉に私は開いた口がふさがらなかった。どこの世界にも成果や栄誉をめぐる競争はあるだろうが、データの真実性に絶対の責任を負うべき研究者がそれを放棄し、業績を増やすことにきゅうきゅうとしている。「世界最多」の不名誉な記録は個人の問題では済まないと私は思う。約20年間も放置した研究界の責任は大きく、対応が遅きに失したと言わざるを得ない。 日本麻酔科学会は6月末、元准教授の1990年以降の論文212本のうち少なくとも172本にデータ捏造の不正があったと認定した。なぜこれほど長期間発覚しなかったのか。 論文の大半は、他の研究者との共著だ。調査は「捏造は単独で行われ、共著者の関与はな
今月1日から販売が禁止された牛の生レバー。消費者団体「食のコミュニケーション円卓会議」が6月、「放射線による殺菌」を検討するよう、厚生労働省に要望した。食品への放射線照射は殺菌効果が高い一方、消費者には抵抗感が強い。安全性をめぐる議論を追った。【小島正美】 同円卓会議は国への要望とともに、レバーへの放射線照射を独自に実験した。日本原子力研究開発機構の高崎量子応用研究所(群馬県高崎市)の協力を得て、真空パックで冷凍された国産の生レバーで実施。放射線照射によりレバーの風味や色がどう変わるかをテストし、解凍前・後の照射で差が出るかも調べた。 コバルト60を使い、ガンマ線(レントゲン検査のX線と同種)を当てた。線量は1・5キログレイと3キログレイ。グレイは吸収線量の単位で、ガンマ線の1グレイはほぼ1シーベルトに相当する。一般市民ら17人が参加し、皿に切り分けられた生レバーに顔を近づけ、においや色に
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