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ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (12)

  • SF小説って読み通すのに労力がいるよね - 基本読書

    qianchong.hatenablog.com こんな記事を読んだ。記事内で当ブログに言及していただいており通知が飛んできたので読んだのだけれども、内容的には「SF映画AI技術系のも大好きなのに、SF小説は最後まで読み通せないものが多い」ということで、なぜなのだろう、老いなのだろうか、と疑問を呈している。率直な感覚が綴られた、良い記事だ。 SFって読み通すのに労力がいるよね SF小説を読んでいる方の人間である僕にとっても「わかる」と頷くところが多い記事だった。SF小説って、ブログ筆者の方も次のように書いているけれど(『SF小説というものは、類まれなる想像力でこれまでに我々が見たことも聞いたこともないような世界を紡ぎ出すところがその真骨頂だと思います。でもおそらく私は、その想像力が紡ぎ出す世界に自らの想像力が追いついていかないのでしょう。』)、想像力が追いつくかどうか以前に「読むのに

    SF小説って読み通すのに労力がいるよね - 基本読書
    nekomura
    nekomura 2024/07/16
    全ての小説は読み通すのに労力が要りますよ。/ニューロマンサーは黒丸節がいいんだよ
  • 科学の世界に革命をもたらしえる力──『因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか』 - 基本読書

    因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか 作者:ジューディア・パール,ダナ・マッケンジー文藝春秋Amazonこの『因果推論の科学』は、その名の通り因果推論について、その先駆者の著者が書いた一般向けのサイエンスである。とはいえ、大半の人の反応は「因果推論ってなんなんだ」であろう。僕も何もわからぬまま読み始めたが、著者がこれは「科学の世界の革命」であると自賛するだけのことはある概念であることはすぐにわかった。 その一方、相当に難しい、とっつきづらい概念でもあり、いかな一般向けの著作といえども書を読んで理解するハードルは他のサイエンスと比べても高いといえるだろう。数式も出てくるし、統計学の用語もぽこぽこ出てくるので、素人がスルスルと読み通せるではない。とはいえ根気強く読んでいけば理解できるように書かれているし(数式自体は別に読み飛ばしても問題はない)、理解すれば因果推論の科学がいか

    科学の世界に革命をもたらしえる力──『因果推論の科学 「なぜ?」の問いにどう答えるか』 - 基本読書
  • 続きがでなくて悲しかった最近のSFたち - 基本読書

    25日発売のSFマガジン2020年10月号、ハヤカワ文庫SF50周年号で、50周年を記念して渡邊利道さん、鳴庭真人さんと僕の3人で座談会をやっています。 SFマガジン 2020年 10 月号 発売日: 2020/08/25メディア: 雑誌あまり明確なテーマはなくざっくばらんに最近のハヤカワ文庫SFや創元SF文庫について話そう、といったかんじで楽しく話したんですが、その座談会に備えて近年(5年ぐらい)のラインナップを見返したり、どのジャンルが何冊ぐらい出ているのかを数えていたら、「そういえばこれ続きが結局出なかったな……」とか、「というかなんで出なかったんだよ!!」と怨念が蘇ってきたので、供養代わりに記事にしようかと思います。ちなみに早川の編集さんにはその場で続きを出せ! といってます。 ラメズ・ナム『ネクサス(上・下)』 ネクサス(上) (ハヤカワ文庫SF) 作者:ラメズ ナム発売日: 2

    続きがでなくて悲しかった最近のSFたち - 基本読書
    nekomura
    nekomura 2020/08/26
    最近ではないけれど「ワイルド・カード」。 ゲーム・オブ・スローンがあたったのだから、なんとかなりませんかねェ。
  • 『三体』の劉慈欣が「近未来SF小説の頂点」とまで言った、ページをめくる手が止まらない圧巻の中国SF──『荒潮』 - 基本読書

    荒潮 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 作者:陳 楸帆発売日: 2020/01/23メディア: 新書この『荒潮』は中国のSF作家を代表する一人と言われる陳楸帆による初の(そして今のところ唯一の)長篇SF小説である。陳楸帆の小説は、日でも刊行された現代中国SFアンソロジーである『折りたたみ北京』にも短篇「鼠年」が載っている。 この「鼠年」は、中国で遺伝子改造されたラットの逃亡と、その駆除隊に入った底辺層の駆除隊の青年を通して中国社会の苦境と世界を支配するゲーム・ルールを描き出していく、ローカル性とグローバル性が適度にブレンドされ、そこからさらにSFならではの情景に繋がっていく圧巻の短篇で、アンソロジー全体の中でも群を抜いておもしろかった。また、この『荒潮』は英語や、原語で読んだ人の評判もずば抜けて高く、最初から期待していたのだが──、実際読んでみたらこれがもうめちゃくちゃおもしろい! 久し

    『三体』の劉慈欣が「近未来SF小説の頂点」とまで言った、ページをめくる手が止まらない圧巻の中国SF──『荒潮』 - 基本読書
  • 中国だけで2100万部、話題性と本物のおもしろさを兼ね揃えたバケモノ級の中国SF──『三体』 - 基本読書

    三体 (ハヤカワ文庫SF) 作者:劉 慈欣早川書房Amazon『三体』とは! 中国の作家劉慈欣によって書かれたSF三部作の第一部目にして、中国国内だけで三部作累計2100万部を刊行し、さらに日でも人気のケン・リュウによる翻訳によってアメリカ歴史あるヒューゴー賞を受賞した傑作である。ヒューゴー賞受賞の何が凄いかと言うと、翻訳書としてははじめてのの受賞になるのだ。 それぐらい作品の内容が圧倒していたともいえる。で、あまりSFとは縁のなさそうなオバマやザッカーバーグも絶賛していたりとか、アニメ化が決定したりとか話題は尽きないんだけれども、とにもかくにもこれだけは覚えて帰ってもらいたいのは、この『三体』は、話題先行の内容はまあおもしろいね、いうほどじゃないけど的な軟弱な態度で読み終わる作品ではなく、その肥大化しきっているともいえる話題性に劣らない、圧倒的なおもしろさのある、純粋におもしろいSF

    中国だけで2100万部、話題性と本物のおもしろさを兼ね揃えたバケモノ級の中国SF──『三体』 - 基本読書
  • 人類、生き延びすぎにもほどがある──『天冥の標Ⅹ 青葉よ、豊かなれ PART1』 - 基本読書

    天冥の標? 青葉よ、豊かなれ PART1 (ハヤカワ文庫JA) 作者: 小川一水出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/12/27メディア: Kindle版この商品を含むブログを見るまさかまさか当に天冥の標が完結する時がきてしまうとは……。この世は何があるのかわからないから突然小川一水が死ぬ可能性もあるがそれはそれとして二巻までの原稿はあるし三巻の原稿もほぼあるはずだからもう完結は期待していいだろう。天冥の第一巻を読んだ時から、小川一水が凄まじい結末を見せてくれるであろうことを微塵も疑ったことはなかったが、このXのPART1の出来はそれをはるかに上回る〝何か〟がこの先に待ち受けているのではないかと、そう実感させてくれる出来だ。 ちなみにこの記事では未読者向けの紹介など全然なく、完全にPART1の内容はネタバレしていくのでそんなかんじで……。9巻まで読んで僕の頭を支配していたのは「

    人類、生き延びすぎにもほどがある──『天冥の標Ⅹ 青葉よ、豊かなれ PART1』 - 基本読書
    nekomura
    nekomura 2019/01/05
    みんな読め
  • もしもヴァンパイアが大英帝国を統治したら──『ドラキュラ紀元一八八八』 - 基本読書

    ドラキュラ紀元一八八八 作者: キム・ニューマン,鍛治靖子出版社/メーカー: 書苑新社発売日: 2018/05/11メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログ (3件) を見るキム・ニューマン『ドラキュラ紀元一八八八』は東京創元社の『ドラキュラ紀元』の増補&改訳版。映画シナリオや世界観を補完する短篇が収録され、完全版といえる出来。もともと読んだことがなく値段が4000円近くするなのでおもしろくあってくれ! と祈りながら読んだのだけど、これがもうめちゃくちゃおもしろい! 台詞の一つ一つが痺れるほどにカッコよく、無尽蔵に投入されるフィクション&歴史上のキャラクタが織りなす1888年の改変世界はどこに目をやっても魅力が横溢している。 原典たる『吸血鬼ドラキュラ』では、吸血鬼であるドラキュラをヴァン・ヘルシングが追い詰め殺してしまうわけだが、この『ドラキュラ紀元一八八八』世界では逆に

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  • 転生したら人工知能にさせられ、有無を言わせず居住可能惑星探査に送り出された件──『われらはレギオン1 AI探査機集合体』 - 基本読書

    われらはレギオン1 AI探査機集合体 (ハヤカワ文庫SF) 作者: デニス・E・テイラー,EVILVIT,金子浩出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/04/04メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見るSF大会に欠かさず参加し誰かれ構わずSFネタを喋り散らすクソSFオタクであるボブは、無神論者で、人体冷凍保存会社(死亡した直後に頭部のみを切断し、未来の技術が生き返らせられるようになるまで保存しておく会社。ちなみに実在する。)と契約するような人間だが、そんな彼がある日突然の交通事故で死んでしまう──。 意識を取り戻した彼がいるのは、なんと117年後のキリスト教原理主義国家となったアメリカ。そのうえ彼は生身の身体を持たない複製人(レプリカント)*1となっていた! 国家の所有物となった彼に与えられた任務は居住可能惑星探査! 自己増殖する自動恒星間探査機に知的機能の制御係とし

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  • 少女が蒸気駆動の甲冑機械を着て駆け回る──『スチーム・ガール』 - 基本読書

    スチーム・ガール (創元SF文庫) 作者: エリザベス・ベア,安倍吉俊,赤尾秀子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2017/10/21メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る「スチーム」ときて「ガール」である。スチームだけでも満貫だが、そこにガールがつけば役満である。ということで『スチーム・ガール』なわけだが、読み始めて気づいたのだが原題は『KAREN MEMORY』で、その書名通りにカレンという名の高級娼館で働く少女が、一連の事件が終わった後に回想形式で語る物語である。 ちなみにスチーム要素もちゃんとある。飛行船から船まで、蒸気駆動の船が世界を闊歩している19世紀後半のアメリカ西海岸の港町が舞台なのだ。ただ、少女が蒸気駆動の甲冑機械を着て駆け回るとか記事のタイトルにつけてしまったし、帯にも「愛する彼女を守るため、カレンは蒸気駆動の甲冑機械を身にまとう」と書いてあるが、

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  • 世界最長のSF《宇宙英雄ローダン》リブート企画、読みはじめるには最高のタイミング──『スターダスト』 - 基本読書

    スターダスト (ローダンNEO 1) 作者: フランク・ボルシュ,toi8,柴田さとみ出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/07/20メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る《宇宙英雄ローダン》シリーズは、ドイツのSF作家が集結し、リレー形式で毎週連載を続け総話数が2900話を超える世界最長のSF小説である。話数で言われてもわからないと思うので、日での刊行形態の話をすると、2話入って薄い文庫1冊の分量。つまり、まあざっと1500冊ぐらいの文庫がひとつのシリーズででているようなイメージだ。複数人で書き継いでいるとはいえ、とちょっと普通の作品ではない。 今のところ日ではざっと550巻ほどでている。そんだけ刊行されているわけなので、ちゃんとそれを買い続けるファンがいて、日でも売れているらしい──とはいえ、こういってしまってはなんだが、550巻もでている話を今から読も

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  • 最近イチオシの海外ファンタジィ──『風の名前』 - 基本読書

    風の名前 1 (キングキラー・クロニクル第1部) 作者: パトリックロスファス,中田春彌,山形浩生,渡辺佐智江,守岡桜出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/03/22メディア: 文庫この商品を含むブログ (5件) を見る書『風の名前』は、キングキラー・クロニクルと名付けられた現代ファンタジィ三部作の第一部になる。もともと日では2008年に白夜書房から三部作で出ており、書はそれを五冊に分冊したものだ。なんでもシリーズ、映画が制作が進行している上に、オリジナルプロットとなるTVシリーズ版も同時に制作しているとか。 国では2011年に第二部が出て、2017年に第三部が出るとか出ないとかいう話で、再刊行するにはちょうどいいタイミングだったのだろう。個人的に、日のファンタジィが量もあるし質も高いしで、海外ファンタジィには乗り切れないことも多いんだけど*1、書はきちんとその個性

    最近イチオシの海外ファンタジィ──『風の名前』 - 基本読書
  • 廃棄指定済みのコロニー、息苦しさの中で生きる狂人達──『屈折する星屑』 - 基本読書

    屈折する星屑 (ハヤカワ文庫JA) 作者: 江波光則,雨水龍出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/03/23メディア: 文庫この商品を含むブログを見る江波光則さんによる『我もまたアルカディアにあり』に続く、早川から刊行される文庫の二冊目になる(話にまったく関連性はない独立したもの)。これがまあ、濃縮還元江波光則みたいな感じですごくファンにはおもしろい。以下簡単に紹介してみよう。 簡単なあらすじとか世界観とか 物語の舞台は火星と木星の中間地点に浮かぶ廃棄指定済みの円柱型コロニー。コロニーにはなぜか資金があり、住人らはあまり働かなくとも生きていけるし、頑張って働いてもたいした利益は得られない。ジリジリと人口は減少しつつあり、進歩もなければ大きな変化もなく、いずれダメになるだろうという予感を抱えながら生きている。 そんな中、特に若者は、当然のごとくその屈した生の向け先に困っている。何

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