滝野川という場所をご存知だろうか。 東京都北区、巣鴨を通って中山道が最初の宿場である板橋に辿り着く前、その街道が縁取る台地の北側辺縁部の傾斜面に位置する。北に向かって下る傾斜面の一番下に石神井川の下流、音無川が流れ、中山道と石神井川のあいだ、埼京線と都電荒川線のあいだが滝野川になる。特に用事でもなければ行く場所ではないだろうが、特徴的な住宅地が広がり、長く筆者の興味を惹き続けている場所だ。 まず現在のこの場所の景観をざっと説明するとすればこうなるだろう。2階建ての木造住宅が建ち並ぶ住宅地で、戸建て住宅が多く、アパートは少ない。それぞれの敷地面積はおおむね20坪ちょっとというところで、かなり狭い。そこにぎっしり詰め込まれたようにひとつずつ住宅がおさまっている。どうしたわけかたいてい几帳面に塀で敷地が囲われて、駐車場を敷地内に確保する余地はないようだ。もっとも前面道路も4メートルあるかないか、
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