メリーさんはまだ故郷にいた時分に文豪・谷崎に出会っており、彼に感化されて白いドレスを纏ったのではないか? 彼女を彼女たらしめたのは戦争ではなく、疎開によって片田舎へ現れた文豪との邂逅……! 小説や映画でさえやらないようなぶっ飛んだ(あるいは陳腐な?)展開になってきました。 個人的にメリーさんの過去にはさほど興味はありませんでした。 理由は「どうせどこかで聞いたような“悲しい過去”が出てきて涙を誘うんでしょう? やれやれ」という気持ちだったからです。 舞台や高座でやるならそういうのもアリだと思うんですが(なぜならそれは芸だから)、テキストでそれはないな、というのが僕の信条です。ただ「谷崎とメリーさん」というのは結びつかなすぎて、逆に面白いなと。 追加取材で、メリーさんの一族の本家に谷崎からの手紙が2通保存されていることを突き止めました。紛失してしまったようですが、谷崎直筆の短冊もあったらしく