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ブックマーク / magazine-k.jp (41)

  • 『文學界』編集部に贈る言葉

    担当していた「新人小説月評」の末尾が削除されるという事件を経て、2月8日、『文學界』編集長から「最低限必要な寄稿者と編集部との信頼関係が失われた」という理由で月評からの降板が命じられた。とりあえず、担当編集者と決して多くないだろう拙評読者に感謝したい。 私が執筆できたのは2月号と3月号の計2回。最初の話では一年間=12回分を依頼されていたため、いささか不意な退場となった。改めて確認するまでもなく、私は私の主張がいまなお正しいと思い、『文學界』編集部は明確に道義に反していると思う。とはいえ、人の愚かさには際限がなく、たんに様々なことを間違えるだけでなく、間違いを間違いと認知できない二重の間違いすら犯しがちなことを考えれば、あまりに自己を過信するのも危険なことだろう。 というわけで、以下、私に決定的な落ち度があったとしても通用可能なメッセージを『文學界』編集部に贈りたい。道は二つに分岐する。

    『文學界』編集部に贈る言葉
    nekotuna
    nekotuna 2021/02/12
    これはいい
  • 第7回 「ブックオフを異化したい」――飯島健太朗さんインタビュー

    --僕が「マガジン航」で連載している「ブックオフは公共圏の夢を見るか」の連載第5回目「ブックオフで神隠しに遭う」がマンガ化され、Twitterで大きな反響を呼びました。今回は、そのマンガの作者である飯島健太朗さんをお呼びして、その制作工程や、飯島さんとブックオフの関わりについてお伺いしていこうと思います。飯島さん、よろしくお願いします。 飯島:よろしくお願いします。 マンガ化の経緯 --まず、どうしてこの連載をマンガ化されたのか、経緯を教えていただけますでしょうか。 飯島:第一に、谷頭さんの文章をマンガにしたかったんですよね。それで、数ある中でブックオフの連載は僕が一番好きで、そしてあの文章だったらマンガにできると思って描きました。なんていうか、谷頭さんの文章には共感するところが多くて。 --なるほど。僕は主に、チェーン店の話をエッセイ風に書いているのですが、飯島さんもそういうチェーンの話

    第7回 「ブックオフを異化したい」――飯島健太朗さんインタビュー
    nekotuna
    nekotuna 2020/12/28
  • 第6回 ブックオフが街のイメージを変えることだってある

    ブックオフの書棚にはその街の姿が現れる。今までの連載で書いてきたことだ。 先日、ブックオフ秋葉原店を訪れたときのこと。 秋葉原駅のすぐ近くにあるこの店舗は6階分あり、古のデパートとでもいうようなたたずまい。ここまで広いブックオフはなかなかない。ビルの大半がブックオフなのだ。 一階には家電やブランド品が売られ、ここがブックオフであることを忘れそうになる。近くにフロアマップがあったので見てみると、驚くべきことが書いてあった。 「6階・ライトノベル 5階・アニメイラスト集」 「ライトノベル」や「アニメイラスト集」が一角を占めているのだ。ここは秋葉原。他のブックオフにはないコーナーも、ここなら頷ける。この店舗風景もまた、「ブックオフはその街を映し出す」こととして語りうるのだろう。 しかし、私たちはここでさらに考えねばならない。 「これを売ったのは誰か」 2回前の連載で、『小林秀雄全作品』を売った

    第6回 ブックオフが街のイメージを変えることだってある
    nekotuna
    nekotuna 2020/12/08
  • 第5回 ブックオフで神隠しに遭う

    大人になったいま、迷子にはほとんどならない。 「ブックオフで迷子になる人」 そんな人がいるだろうか。いると思う。かくいう私がそうなのだ。さっき「私は最近迷子にならない」と書きながらなにごとかと思うだろう。しかしブックオフだとつい迷子になってしまう。いま、「迷子になる」と改まって書いたのは、今回の連載で「迷子になる」ことを改めて書いてみようと思うからだ。 ブックオフで「迷子」になる ブックオフの「100円コーナー棚」には、長い間売れなかったり、汚れが著しい新書や文庫が100円で売られている。一般的な中古値段で売られると別の棚にそれらはあり、思いがけない掘り出し物が転がっていたりするから、トレジャーハントの気持ちで私はよく行くのだ。ここで私は迷子になる。 ここには大量のが棚にぎっしり詰められていて、似たような背表紙から目的の品を探すのはなかなか難しい。たよりになるのは、のジャンルや作者の

    第5回 ブックオフで神隠しに遭う
    nekotuna
    nekotuna 2020/01/30
    ブックオフって、こちら(というか俺)の価値観とは違うところにあるので、逆に猟書の可能性は高いよね。
  • 無名の新人が書いた地味な分野の本に、ありえないほど長いタイトルをつけて売ろうとした人文書出版社の話

    ある日、いつものようにツイッターを立ち上げてタイムラインをぼんやり眺めていたら、なんだかとてつもなく長いタイトルのについてのツイートが流れてきた。発信者はそのの版元の編集者で、題名は『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する』――カギカッコを含めて60文字もある。ただ長いだけではない。一つひとつの言葉に見覚えはあるが、そのつながりがよくわからない。いったい「舞姫」と「アフリカ人」がどうつながるんだろう? タイトルだけではまったく内容の想像がつかないので、書店にでかけたときに立ち読みをしてみた。思ったより、ちゃんとしてる――というのも変だが、そう感じた。なにしろ版元はあの柏書房である。私はアルベルト・マングェルの『読書歴史 あるいは読者の歴史』やアレッサンドロ・マルツォ・マーニョの『そのとき、が生まれた』

    無名の新人が書いた地味な分野の本に、ありえないほど長いタイトルをつけて売ろうとした人文書出版社の話
    nekotuna
    nekotuna 2019/06/18
    当時の作家、ライブラリーサイド、そして再発見者(著者)、誰もにとって最高の結末ではないか。読みたい。
  • 民主主義を支える場としての図書館

    図書館」という言葉から最初に連想するものはなんですかと問われたなら、の貸出、新聞や雑誌の閲覧、調べもの、受験勉強……といったあたりを思い浮かべる人が多いのではないか。もしそこに「民主主義」という言葉が加わったら、はたして違和感はあるだろうか。 図書館を舞台にしたドキュメンタリー フレデリック・ワイズマン監督の映画『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』を、先月の終わりに試写会で観た(5月18日より東京・岩波ホールほか全国で順次公開)。約3時間半にわたる超長尺のドキュメンタリー作品であるにもかかわらず、不思議なことにいつまでも観つづけていたい気持ちにさせられた。その理由はこの映画のテーマと深く関わっている。 『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』の主題は、図書館を題材にしていることから想像されがちな「」や「読書」ではない。あえてキーワードを挙げるとすれば、「コミュニティ」「文

    民主主義を支える場としての図書館
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    nekotuna 2019/05/07
  • 献本の倫理

    元『ユリイカ』編集長の郡淳一郎氏が、4月22日、自身のTwitterにて「「御恵贈(投)頂き(賜り)ました」ツイートの胸糞わるさ」から始まる「はしたない」御礼ツイートを批判したことで、献という出版界の慣習に多くの関心が集まった。 郡氏によれば、この種の御礼ツイートには「わたしには、「皆の衆、俺(私)はコネがあるんだぞ、大事にされているんだぞ、偉いんだぞ」というメッセージ」しかない。つづけて、「商業出版されたは商品なのだから、それをタダでもらったと吹聴するのは、はしたないことだと、なぜわからないのか。黙ってを読むことが中抜きされていると感じる」と憤りを露わにする。 はじめに断っておけば、私は郡氏の献観、また書物観や編集観にまるで共感しない。詳しくが後述するが、私が著者として他者に献するさい、その人にもっとも期待しているのはのPRであり、賞讃でも批判でも話題になること、注目が集まる

    献本の倫理
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    nekotuna 2019/04/26
  • 21世紀に万葉集と出会い直す

    新しい元号の典拠となった効果で、万葉集関連が売れているという。さっそく地元の町の屋に出かけてみたら、岩波文庫の『万葉集(一)』と岩波新書の斎藤茂吉『万葉秀歌』(上下巻)が見つかった。新元号の典拠である第5巻「梅花の宴」序が収録されているため売れているという角川ソフィア文庫のビギナーズ・クラシックス・シリーズ版もあったが、こちらは約140首ほどの抄録版とのことで見送った。その後、出先でいくつかの書店を歩きまわり、岩波文庫版を(一)から(五)までなんとか揃え、さらに参考図書として大岡信の『私の万葉集(一)』も手に入れて読み始めた。 万葉集を「読む」ことの難しさ 万葉集の成立時期については諸説あるが、もっとも遅い時期の歌でも第20巻末尾の大伴家持歌(4516)の天平宝字3年(西暦759年)。あくまで伝承ではあるが最古の歌は5世紀末に実在したとされる雄略天皇の代まで遡る。だが万葉集の原は現在

    21世紀に万葉集と出会い直す
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    nekotuna 2019/04/13
    流行だろうと付和雷同だろうと読書体験の拡張は素敵なことなので支持したい。(ただし俺は万葉秀歌の二度目の挫折になりそうなのだが…もうちょっと読みやすそうな本を…)
  • 第1回 ブックオフという「図書館」の登場

    二種類の「古屋」から考える 突然だけれど、「古屋」といわれたとき、あなたの頭にはどういった風景が思い浮かぶだろうか。 薄暗く狭い店内にぎっちりとが重ねられ、店の奥ではこわそうな店主のおやじがぶすっとした顔で座っている―― あるいはこうだろうか? 蛍光灯で明るく照らされた店内にはぴっしりとが並べられ、そこかしこにいる制服を着た店員がにっこりとした顔で呼び込みをしている―― 多くの人にはこの二つの光景のどちらかが思い浮かんでいるのではないだろうか。まったく異なるこの二つの古屋は、そっくりそのまま「ブックオフ以前」と「ブックオフ以後」の古屋に対応している。日を代表する古屋チェーンである「ブックオフ」。「新古書店」ともよばれる矛盾した呼び名があるその古屋は、それほどまでに日の古をめぐる風景を変え、そしてそれは古の風景だけではなく、そのものをめぐる風景をも変えたのだ。 どう

    第1回 ブックオフという「図書館」の登場
    nekotuna
    nekotuna 2019/02/14
    一つの視点として。(ブックオフが古書店を淘汰し、マーケットまで破壊した結果ブックオフまで閉店するという。砂漠化についても議論して欲しいところではある)
  • いま本をめぐる環境は、とてもよいのではないか

    あけましておめでとうございます。今年で「マガジン航」は創刊から10年を迎えることになります。 昨年は下北沢に誰でも来ていただける「編集室」をあらたに設けました。今年はこの場所を拠点に、ウェブメディア以外にもいろいろな活動をしてまいります。今後も「マガジン航」をどうぞよろしくお願いいたします。 *   *   * この年末年始は仕事を離れて自分の読みたいだけを読んで過ごした。10年前にこのサイトを立ち上げたときに漠然と思い描いていたような、電子化へと急激に舵を切るような「の未来」は、2019年の現在もまだ現実には訪れていない。けれどもいま私たちが享受している書物をめぐる環境は、読者という立場に身をおくかぎりは、きわめて快適といっていいだろう。 仕事納めのあと、買ってからしばらく積んであったの山を崩し、手始めに野崎歓『水の匂いがするようだ――井伏鱒二のほうへ』(集英社)にとりかかった。一

    いま本をめぐる環境は、とてもよいのではないか
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    nekotuna 2019/01/13
  • 非日常としての本屋、日常としての本屋

    年末年始に旅をした。日列島を西に向かったその移動の意味の半分くらいは屋を訪ねることにあったから、屋へ向かう旅だったということもできなくはない(あと半分は、足の悪い祖母に会いに行くことである)。ここ最近、遠出が決まると、道すがら屋を探し訪ねる生活が続いていた。 この旅では、岐阜・恵那の庭文庫と広島・尾道の弐拾dBのふたつの屋に行った。どちらもその場所にあるよさをしんみりと感じることのできる、優しい店だ。もっと家の近くにあったらいいのにと、わがままな気持ちを抱かないわけでもないが、それは、また出かけようという言葉に置き換えられる。 思い出の中には、屋にまつわる風景がいくらでもある。それらはいつも、駅前には小さな新刊書店とBOOKOFFがあり、立ち読みをしては、お小遣いで100円の文庫漫画を買った。足りなければTSUTAYAもあった。同級生の親戚がやっていた近所の

    非日常としての本屋、日常としての本屋
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    nekotuna 2019/01/13
  • コミュニティ(Ours)の編集とデザイン

    クラウドファンディングによる出版プロジェクトが進められていた、故・渡辺保史さんの遺稿集『Designing Ours:「自分たち事」のデザイン』がようやく完成し、先週末に私の手元にもが届いた。このは2011年から2012年にかけて渡辺さんが執筆していた単行用の未定稿を編集し、事前予約制により限定出版したもので、一般向けに市販されることはないという。そこで渡辺さんと多少なりともご縁があった者として、このに込められた故人の思いを受け止めつつ、自分なりの感想を綴ってみたい。 「情報」のデザインと編集 渡辺保史さんは、「情報デザイン」という言葉を自身の活動の中心に置いていた研究者/教育者である。最初に渡辺さんとお会いしたのは、彼がフリーランスのライターとして活動をしていた頃で、私は1990年代に刊行されていた最初の「ワイアード日版」(現インフォバーンの小林弘人氏が編集長)の編集部にいた。

    コミュニティ(Ours)の編集とデザイン
    nekotuna
    nekotuna 2018/04/09
    この本、類似の本よりも深く深く共感した。自分のキーブックの一冊になりそうな気がした。また読み返そう。
  • 神保町ブックセンターは本の町を再起動させるか

    神保町交差点の角に立地し、ながらく「岩波ブックセンター」の名で親しまれてきた信山社は、同社の代表取締役会長だった柴田信さんの急逝により、2016年11月に休業・破産手続きにはいった。その後、用途が宙ぶらりになっていた「の町」の一等地の行方には、多くの人が期待や不安とともに、関心を寄せていたことだろう。 この岩波ブックセンターの跡地に、「神保町ブックセンター with Iwanami Books」(以下、神保町ブックセンターと略記)という施設が今年4月に開業することを、その運営主体となるUDS株式会社が1月31日に発表した。広い意味での「の施設」としてこの場が続くことを知り、私もホッとした気持ちになった。 プレスリリースによると、神保町ブックセンター は書店・コワーキングスペース・喫茶店の複合施設であり、「を中心に人々が集い、 これからを生きるための新しい知識・新しい仲間に出会える”

    神保町ブックセンターは本の町を再起動させるか
    nekotuna
    nekotuna 2018/02/23
  • ZINEの生態系とローカリティ

    小規模の印刷出版物にはさまざまな呼び方がある。小冊子やパンフレットといった一般的な言い方のほかに、「ミニコミ」「同人誌」「タウン誌」「リトルマガジン」「リトルプレス」「インディーズ・マガジン」「ジン」などが挙げられるが、和製英語も含むそれぞれには特定の歴史的文脈があり、どう呼ぶかで作り手の意識までがわかったりもする。 出版の「正史」の外で綴られ、編まれ、そして読まれてきた、こうした小規模出版物の歴史をまとめたがこの秋、あいついで刊行された。ひとつは雑誌「アイデア」での連載をまとめた、ばるぼら・野中モモ編著『日のZINEについて知っていることすべて〜同人誌、ミニコミ、リトルプレス 自主制作出版史1960-2010年代』(誠文堂新光社)で、もうひとつは南陀楼綾繁『編む人〜ちいさなから生まれたもの』(ビレッジプレス)だ。こちらは「彷書月刊」「雲遊天下」といった、それ自体が「小規模出版物」で

    ZINEの生態系とローカリティ
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    nekotuna 2017/12/01
    『和製英語も含むそれぞれには特定の歴史的文脈があり、どう呼ぶかで作り手の意識までがわかったりもする』『日本では「ミニコミ」や「同人誌」といった言葉が独特のニュアンスやバイアスを背負っている』
  • Twitterは言論プラットフォームたりうるか?

    政治から身の回りに関わることまで、私たちは日々議論を通じてさまざまな意思決定を行っている。歴史を遡れば、時代背景や技術環境に応じてその基盤(プラットフォーム)となるべきメディアも変化し続けてきたことがわかる。 21世紀初頭はTwitterが突如、私たちの意思決定に大きな影響を及ぼすメディアとして存在感を増した時代と記録されるはずだ。2006年に「140文字の短文を投稿する」という極めてシンプルな仕組みで生まれたTwitterは、2017年現在、世界で3億人がアクティブに利用するソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)となっている。 筆者も2007年からTwitterを使っている。私ごとではあるが、フリージャーナリストとして独立したのがちょうどその頃だったので、ブログを書くような手間もかからず、素早く情報が拡散されるTwitterはありがたい存在だった。大きな発表や事件が起こったときに、

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    nekotuna 2017/11/30
  • 子どもたちに必要なのは立派な施設だろうか

    しばらく前に、建築家の安藤忠雄さんが児童図書館を建設し、大阪市に寄付することが報じられた。9/20付朝日新聞の記事「安藤忠雄さん「こどもの森」建設、寄付へ 大阪中之島」の一部を引く。 建築家の安藤忠雄さん(76)は19日、大阪市北区の中之島公園に「こどもの森 中之島」(仮称)を建設し、大阪市に寄付する考えを明らかにした。 施設の場所や広さなどの概要については、記事では以下のようになっている。 建設予定地は市が管理する敷地で、鉄筋コンクリート造り3階建て。延べ床面積は約1千平方メートル。1階から3階まで吹き抜けの壁一面に棚を置き、子どもたちがに囲まれた空間で自由に読書できるようにしたいという。蔵書数などは未定だ。 広さは坪換算だと約300坪。2019年の開館を予定しているという。 なぜこのようなことを思い立ったのかについて安藤さんは、《「新聞やを読まない子どもが増えている。市民が社

    子どもたちに必要なのは立派な施設だろうか
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    nekotuna 2017/10/06
    箱を寄付するというのは素晴らしいことだが、そこに魂を入れらるのか、大阪市?マンパワーやコストの問題をクリアせねば運営は難しいだろうと思う。
  • 書誌情報の「脱アマゾン依存」を!

    去る8月25日、図書館蔵書検索サービス「カーリル」のブログに掲載された「サービスに関する重要なお知らせ」を読んで、驚いた人は多いと思う。この日のブログにこのような一節があったからだ。 カーリルでは、Amazon.com, Inc.が保有する豊富な書誌情報(のデータベース)をAmazonアソシエイト契約に基づき活用することにより、利便性の高い検索サービスを実現してきました。現在、Amazon.comよりカーリルとのAmazonアソシエイト契約が終了する可能性を示唆されているため対応を進めています。 Amazonアソシエイト契約の終了は現時点で決定事項ではございませんが、カーリルではこの機会に、Amazonのデータを主体としたサービスの提供を終了し、オープンな情報源に切り替える方針を決定しました。現在、新しい情報検索基盤の構築を進めておりますが、状況によっては一時的にサービスを中断する可能性

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    nekotuna 2017/09/01
  • 次世代のブックフェアを構想する

    先月のこの欄でも少し触れたが、3月1日にリードエグジビションジャパンが今年の東京国際ブックフェアの「休止」を発表した。これを報じた文化通信の記事によると「2018年9月の開催をめざす」とあるものの、存続するにしてもその意義を「皇室の来場」に置いているなど意味不明であり、あらたなコンセプトの設定は難しいと思われる。ブックフェアとながらく同時開催されてきた電子出版EXPOも2015年を最後に終了しており、一つの時代が終わった感を強くした。 もっとも、東京国際ブックフェアが開催されなくなったとしても、ここから派生したコンテンツ東京(クリエイターEXPO、コンテンツ・マーケティングEXPO、キャラクター&ブランド・ライセンス展など七つの専門見市からなる国際総合展)は今年も開催される。東京国際ブックフェアは昨年の時点で、ビジネス見市から「読者謝恩(ようするにの割引販売、出版社からみれば在庫処分

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    nekotuna 2017/04/03
  • いま本をどう売るか――ウェブ、イベント、書評

    村上春樹の4年ぶりの長編(新潮社によれば「7年ぶりの格長編」)『騎士団長殺し』が2月24日に発売された。当日は各地の書店で深夜零時からの発売に向けたカウントダウンや読書会など、さまざまなイベントが行われた。 私も都内の大型書店で行われた深夜零時からのカウントダウン&即売イベントに参加した。発売日夕方にこのをめぐってラジオの生放送で話をする仕事があり、その前に確実に手に入れたかったのだ。 「まだ大丈夫かな?」と不安に思いつつ、発売数日前にこの大型書店に向かって手に入れた整理券の番号は39。案外と若い数字に驚いた。当日の集合時間ちょうどに会場に着いたときも、すでに集まっていた人の数は思ったよりも少なく、殺到という感じではなかった。カウントダウンの瞬間までには長い行列ができたが、その一部は、当日の呼び込みで並んだ人たちだった。 一つしかない特設レジで、あらかじめカバーがかけられ、手提げのビニ

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    nekotuna
    nekotuna 2017/03/05
  • 海の見える一箱古本市のこと

    「一箱古市」とは、「素人からプロまでが同列に古を販売するフリーマーケット型の古市」である。出店者は「店主さん」と呼ばれ、それぞれに好きな屋号をもち、一箱分のを持参して、その日限りの屋さんを開く。どんなをいくらで売るかは自由。 はじまりは2005年に東京の谷中・根津・千駄木で開催された「不忍ブックストリートの一箱古市」で、「一箱の」を通じたコミュニケーションの形が評判を呼び、現在は全国各地で開催されている。谷根千ではじまった経緯は、一箱古市の産みの親である南陀楼綾繁(なんだろうあやしげ)さんの著書『一箱古市の歩き方』(2009年、光文社新書)に詳しい。 瀬戸内・高松の一箱古香川県高松市で開催している「海の見える一箱古市」は、今年で3年目を迎えた。初開催は2015年9月。東京でスタートしてから10年後ということになる。この10年で全国に広がり、昨年(2016年)1〜

    海の見える一箱古本市のこと
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    nekotuna 2017/01/14
    この文章に、一箱古本市の魅力は語られているとおもう。