日本では医療費の地域格差の議論の中で、医療費は安ければ安いほど良いという論調になっている気がしていますが、これは間違いだと思います。 実際に私達の研究グループが2015年に行った研究によると、日本において医療費の安い県では心肺停止患者が生存する確率が低いという結果が得られています。日本の47都道府県を県民一人当たりの医療費で3つのグループに分けて解析したところ、低医療費の県では他のグループの県と比べて、院外心肺停止の患者の予後が統計学的に有意に悪いという関係が認められました。 日本では以前から、県によって医療費が大きくばらついていることが問題となっており、県ごとに医療費の目標値を設定することが検討されております。しかし、医療費の高い県が、他の県と比べて医療の質が良いのか、むしろ低いのかに関してはほとんど分かっていませんでした。また、医療費のばらつきに比べて、県ごとの医療の質のばらつきは研究