リチャード・アッテンボローが死去した。訃報は「ガンジー」の監督とし て紹介したが、私はアッテンボローはやはり俳優としてのほうが優れていた と思う。と言えば「大脱走」だろうが、私はリチャード・フライシャー監督の ミュージカル映画「ドリトル先生不思議な旅」の、サーカス団長ブロッサム として最も記憶したいのである。というのは私はこの「ドリトル先生」が大 好きで、くりかえし観ているからである。 一九六七年、主演はレックス・ハリソンで当時五十九歳、アッテンボロー は老けて見えるが当時四十三歳である。友人のインディアン(当時の呼称) ロングアローから贈られた双頭のラマ・プッシュプルをサーカス団へ売りに 行き、その収益でドリトル先生は南の海へ大海カタツムリを探しに行くのだ。 人気のある映画だが、あまり名画とは言われない。監督のフライシャーは、 映画史的には、黒澤明が『トラ!トラ!トラ!』の監督を解任され