ブックマーク / note.com/ruiu (11)

  • IPv6がなぜいまだに普及していないのか|Rui Ueyama

    現在のインターネットの基をなしているIPv4というプロトコルには、広く知られた大きな欠点がある。パケットのアドレスフィールドの幅が32ビットなので、ネットワークに接続可能なホスト数の上限が2³²(約43億)になってしまっているのだ。その欠点を修正するために、1990年代後半にIPv6という新たなプロトコルが設計されたのだけど、いまだにインターネットではIPv6は少数派で、主流ではいまだにIPv4が使われている。 1990年代当時は、IPv6は規格を策定すれば比較的すぐに普及するはずで、それによってインターネットが抱えているアドレス枯渇の問題が解決されるという雰囲気だったように思う。1998年にタイムトラベルして、20年たってもまだIPv4を置き換えることに成功していないと当時の人のIPv6推進者たちに教えたら、多分すごくびっくりされるだろう。一体どうしてこんなに普及が遅れてしまったのだろ

    IPv6がなぜいまだに普及していないのか|Rui Ueyama
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    netcraft3 2019/11/04
    IPv6を巡る状況は確かにナッシュ均衡と言える
  • コンピュータセキュリティと様々なサイドチャネル攻撃|Rui Ueyama

    コンピュータセキュリティというのは微妙なもので、正面からの攻撃には安全でも、攻撃対象とは思われていなかった部分を突くとあっさり情報が盗めるパターンがある。そういう攻撃手法をサイドチャネル攻撃という。ここではサイドチャネル攻撃についていくつか見てみよう。 たとえば社外秘の文書をセキュアにブラウズしたいとしよう。VMwareなどを使って仮想マシンにOSを2つインストールして、通常利用環境とセキュア環境を完全に分離して、セキュア環境からしか社内ネットワークにアクセスできないようにして、そちら側をインターネットから完全に隔絶しておけば、仮に両方のOSが乗っ取られたとしても、VMware自体が乗っ取られない限りは依然として分離が有効に機能しているので、インターネットに情報がリークすることは原理的になさそうだ。 しかし実際にはこのような分離は完全な防護壁にはなってくれない。たとえばセキュア環境は「なに

    コンピュータセキュリティと様々なサイドチャネル攻撃|Rui Ueyama
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    netcraft3 2018/01/19
  • もしコンパイラを全世界で同時にうっかり削除してしまったら、元の状態に復旧できるのだろうか?|Rui Ueyama|note

    思考実験として、全世界の人が同時に、自分の持っているコンパイラやインタープリタなどの実行ファイルをうっかり全部消してしまったとしよう。そうするとそれ以降、ソースコードが残っていても、コンパイラ自身も含めてどのようなプログラムもコンパイルできなくなってしまう。この状況から人類は元のコンピュータ文明を復旧することができるのだろうか? 僕は結論としては、かなり簡単に復旧できると思う。ここではその手順についてちょっと考えてみよう。 コンパイラのバイナリファイルが全部消えてしまった後、復旧のために目指すべきマイルストーンは、おそらくCコンパイラを元に戻すことになるだろう。Cで書かれたプログラムはOSやコンパイラ自身を含めてたくさんあるので、そこを起点にすれば、たくさんのプログラムを芋づる式に復旧していけるからだ。 ほとんどのCコンパイラはCかC++で書かれている。最近のGCCやClangは巨大かつC

    もしコンパイラを全世界で同時にうっかり削除してしまったら、元の状態に復旧できるのだろうか?|Rui Ueyama|note
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    netcraft3 2017/12/04
    文明崩壊後の世界で役に立つ思考実験。
  • x + 0.25 - 0.25 = xが成り立たないxとは何か|Rui Ueyama

    スタンフォードのコンピュータサイエンスの授業で、ときどきこれは良問と思う問題がテストで出ることがある。僕の印象に残っているのは「xをfloatとするとき、x + 0.25 - 0.25 = xが成り立たないxを求めよ」というものだ。浮動小数点数を理解していないと、両辺が同じにならないケースがあるほうが不自然に思えるだろうから、この問題は浮動小数点数の奇妙さを結構うまく突いていると思う。この問題を元に浮動小数点数についてちょっと説明してみよう。 まずコンピュータ上での数について少し考えてみよう。コンピュータにおける数と、数学の整数や実数は、よく考えてみると全然違う。コンピュータは有限の記憶領域しか持っていないので、無数にある数を表すことが根的にできない。つまりコンピュータ上の数は「物の数になるべく似せた別の何か」だ。現実的には、例えば32ビットの数なら2^32パターンしか表せないので、そ

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    netcraft3 2017/11/29
  • 機械の目と人間の目の類似点|Rui Ueyama

    「機械の目」というと冷徹かつ忠実に現実の世界を切り取るというニュアンスがある。カメラのイメージセンサなどは誰が作っても、それこそ別の惑星の知的生命体が作っても、僕らが持っているものと同じものになりそうだ。しかし実際にはそうではない。カメラは多くの場合、人間が見るための画像を生成する装置なので、人間の目の構造をかなり忠実に反映している。それについてちょっと見てみよう。 多くの人の目にはRGBの3種類の色に反応する3種類の細胞がある。最近は生きた人間の網膜上の細胞を直接観測することが可能になっている。下がその着色した画像だ(画像はWikipedia)。 カメラの撮影素子のカラーフィルタもRGBだ(画像はWikipedia)。 さて、ここでいくつかの共通点に気づくことができる。まずは、どちらもRGBの3色を認識するという共通点があるのだが、3原色というのは、自然界における3つの特別な色というわけ

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    netcraft3 2017/11/27
  • エレベータに見るアルゴリズムの性能と公平性のバランス|Rui Ueyama

    現実世界でもコンピュータの中でも、何らかの性能指標だけを追求すると参加者にとって極端に不公平になってしまうことがある。例えばエレベータとHDDは共通点がありそうに思えないが、この2つは性能特性的にとてもよく似ていて、リーズナブルな性能と公平性を両立させるために同じ制御方法が使われている。これについてちょっと説明してみよう。 1基しかない場合のエレベータの動き方は単純だ。一度上に動き出すと、上で待ってる人や降りる人がいる限り上昇し続ける。同じように、一度下に動き出すと、下で待っている人や降りる人がいる限り下降し続ける。これ以外の動き方をするエレベータはまず存在しないので、これが唯一の制御方法のように思えるけど、別にこうしなければいけないというルールはない。 エレベータの平均待ち時間を最適化することを考えてみよう。そうすると、一方向に動き続ける代わりに、エレベータが現在存在する階に一番近い人の

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    netcraft3 2017/11/24
  • 乱数生成器とゲームと諜報活動の話|Rui Ueyama

    ゲームなどを作っているとランダムさが必要になることがあるけど、コンピュータは基的に毎回全く同じように動くので、乱数を作り出すのはそう簡単なことではない。Wi-FiやHTTPSなどの暗号は乱数のランダムさに質的に依存しているので、高品質な乱数生成は世の中的にも重要な話題である。ここでは乱数生成について話をしてみよう。 ゲームではイベントがプレイヤーに予測不可能であればよいだけなので、真の乱数列ではなく擬似乱数列というものを使うことが多い。擬似乱数列は人間にはランダムにみえるけど、実際は何らかの数式によって順番に生成されているだけの数の列で、初期値を毎回違うものにしておくと、人間には毎回違う数列が生成されるようにみえる。初期値には現在時刻を使うことが多い。現在時刻は普通の用途では毎回違うからだ。 昔のゲーム機は現在時刻の設定がなかったので、ファミコンなどでは、起動してからの経過時間を疑似乱

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    netcraft3 2017/11/22
  • メモリのビット反転エラーとセキュリティの話|Rui Ueyama

    ハードウェアのエラーでメモリの内容が化けてしまうことが稀にある。大抵のDRAMエラーはせいぜいプログラムがクラッシュする結果になるだけだが、データ破壊になることもありえるし、悪意のある使い方をすればセキュリティ破りに使うこともできてしまう。ここではメモリエラーとセキュリティの話をしようと思う。 メモリのエラー率は意外なほど高い。データセンターで大規模なマシン群を対象に実際に観測したところ、1年間に1回以上のエラーが発生したDIMMモジュールは全体の8%にのぼったそうだ。DIMM 1枚に数百億個のメモリセルが実装されているといっても、このエラー率はちょっとびっくりするくらい大きな数字ではないだろうか? サーバでは普通はエラー訂正付きのDIMMを使うので1ビットのエラーは問題にならないが、エラー訂正のないコンシューマ機器ではこれは実際的な問題になりえる。 メモリエラーを利用したセキュリティ破り

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    netcraft3 2017/11/20
  • 絵文字がある種のUnicodeバグを世界から一掃しつつある件について|Rui Ueyama

    UnicodeのUTF-16エンコーディングではほとんどの文字(コードポイント)は2バイトで表現されるが、Unicodeに後から追加収録された文字の多くは4バイトで表現される。4バイト文字がうまく扱えないプログラムというのはわりとよくある。しかし世界中で広く使われるようになった絵文字がよりによって4バイト文字であるせいで、そのような文字が扱えない問題がよいペースで解決に向かいつつある。それについて少し説明してみようと思う。 Unicodeが80年代から90年代初頭にかけてデザインされたときの目標の一つは、Unicodeに含まれる文字数を65536個以内に収めることだった。現代の文章を実用的なレベルで表すためには、漢字などを含めてもそれだけの種類の文字があれば十分だと考えられたのだ。当然これは1文字を2バイトで表すことを念頭に置いていた。つまりコンピュータの揺籃期から当時に至るまで単純に英語

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    netcraft3 2017/11/13
    ガラケー時代の絵文字は3キャリアで互換性が無くて(特に拡張絵文字)プログラマ泣かせだったけど、Unicode絵文字はそんなことになっているのか。
  • 「プログラミングの常識」を時々見直す必要性について|Rui Ueyama

    自分の中のプログラミングの常識というものは、ときどき現実のハードウェアに合わせて調節しないといけない。ハードウェアが進歩し続けているので、コンピュータで簡単にできることと相対的に難しいことのバランスが変化し続けているからだ。ここでは特にストレージにフォーカスして書こうと思う。 昔はメモリが相対的にとても貴重な資源だったので多くのプログラマがメモリを節約することに血道を上げていた。例えばWindowsの初期の頃に設計されたデータ構造には、メモリをバイト単位ででもいいから節約したいという意図の痕跡がいまでも多く見受けられる。DRAMの次に速い記憶装置はHDDだったので、メモリが足りなくなればHDDにデータを保存せざるを得ないのだが、DRAMとHDDのランダムアクセスの速度差は、机の上のの開いているページを見るのと、そのAmazonで注文して到着するのを待つのと同じくらいのスケールで違うの

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    netcraft3 2017/11/02
  • スタンフォードのコンピュータサイエンスの授業の感想|Rui Ueyama

    いまのところ25単位分(マスター修了に必要な単位数の約半分)の授業を取ったので感想を時系列でちょっとまとめたい。昔のやつは記憶が曖昧になっているけど。 CS243 プログラムの解析と最適化 (2014Q4)要するにコンパイラの最適化の授業。前半はデータフロー解析とかでかなり実用的な感じがしたが、後半は行列計算の命令の依存関係を抽出してベクトル最適化とか、ItaniumみたいにレジスタのたくさんあるCPUでループアンローリングするみたいな話で、実際に役に立つのかはよくわからなかった。 と、そのときは思ったが、巨大な行列の計算はよくあるので、興味を持てなかった僕がダメだっただけかもしれない。 とにかく難易度が高かった。かなりがんばって夜中までやっていたつもりだけどもっと真剣に取り組むべきだったかもしれない。なにせこれが最初の授業だったのでレベル感がよくわかっていなかった。教授がドラゴンブックの

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    netcraft3 2017/04/06
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