「インシデント」とは,セキュリティ上の脅威となりうる出来事を意味する言葉である。意図的,偶発的,疑いがある場合などに関わらず,「セキュリティを脅かす可能性のある問題が起こった」と判断した出来事なら,それがインシデントである。インシデントが起こったとき,「インシデントが発生した」という言い方もする。 そもそもインシデント(incident)という単語には,「事件」,「出来事」,「ハプニング」といった意味がある。航空や医療の分野などでも使われている用語で,いずれも「重大な事故につながる可能性がある出来事」のことを指している。 どのくらいの脅威があるとインシデントと呼ぶかという明確な定義はない。主体となる組織や人によって対象となるインシデントは違う。ただし,コンピュータ・ネットワークを構築している組織すべてに,ある程度共通してインシデントといえる出来事は起こりうる(図1)。 最も身近なインシデン