空は寒々しい鉛色だった。 国道だというのに、行き交う車は少ない。ましてや歩く人の姿は見ない。 島根県雲南市。 過疎の集落の古びた道の駅の脇に、それはある。高さ4メートルの巨大な銅像。 平成最初の首相、竹下登だ。 県議から首相に登り詰め、自民党の最大派閥を牛耳るまでになった竹下。 地元・島根に築いた「竹下王国」が、平成最後の年にこんなことになると、本人は想像できただろうか。 (松江局 白石明大、須田唯嗣、西林明秀) 国会議員4人のうち3人が竹下系列 昭和33年、衆議院議員に当選した竹下登は、県下全域に後援会組織を張り巡らせた。最盛期には、島根県議会で系列議員がほぼ半数を占めるなど、強固な地盤を築いていった。 引退後は、弟の竹下亘が地盤を引き継いだ。 参議院では、登の秘書から議員となった青木幹雄が当選を重ね、時の首相にも強い影響力を及ぼす実力者に登り詰めた。 現在、島根県の選挙区選出(参議院の