素朴な「楽園」が「文明」の波を受けて変化していく様子 タヒチと聞くと、パッと「南国の楽園」のようなイメージを思い浮かべるのではないでしょうか? コバルトブルーの海、水平線の彼方まで広がる空に浮かぶ雲、椰子の木の影、カラフルな花々、愉快で素朴な人々…。 かつてゴーギャンが愛した「高貴な未開の地」でバカンスを過ごそうと、各国から人が押し寄せています。先進国からのツーリストは快適さや豪華さ、サービスすら母国そのままを求めますから、要求が高いというか、虫がいいというか。 さてそんなタヒチはヨーロッパ人が到達するまで、複数の首長に統治された部族的な社会でした。武器が持ち込まれるようになると、ヨーロッパ人の力を背景にしたタヒチ人による中央集権体制が出来上がっていきますが、やがて野心的なフランスに取り込まれていきます。 1. ヨーロッパ人が到達するまでのタヒチ 1-1. タヒチの身分制度 古代のタヒチは