名作と呼ばれる文学作品を、現代の価値観に合わせて修正するのは許される行為なのか? 許されるとしたら、どこまでが許容範囲なのか? この問いに対する激しい議論が、いま欧米に広がっている。 「ミステリーの女王」と称されるアガサ・クリスティの作品では、「東洋人(Oriental)」「ジプシー(Gypsy)」といった語句が削除され、イアン・フレミングの『007』シリーズの最新の改訂版では、人種や性に基づく差別表現が修正された。 また、『チョコレート工場の秘密』(評論社)などで知られるロアルド・ダールの児童書からは、「太った(fat)」「醜い(ugly)」などの容姿についての形容詞や、登場人物の性別や肌の色に関する表現が一掃されている。 出版から数十年が経過した小説にささやかな変更が加えられる例はこれまでにもあったが、あまり問題視されてこなかった。だが近年は、現代人が不快に思うような語句を画一的に削除
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