もったいぶらずに最初にネタばらしをやっておこう。 年あたり103万というのはいわゆる「ナショナル・ミニマム」である。年間の収入がこれ以下にとどまれば課税されないという最下限の額である。逆に言えば、年間の収入が103万を超えると税金を取られ得る、ということだ。それは38万円の「基礎控除」と65万円の「給与所得控除」の合計だ。現代の日本においては、就労者/収入のある人は8割がたが何らかの「給与所得者」であり、そうでない人のほとんどにもこの「103万」は実質同様の意味を持つので、ここでは些末な例外は措いて、次のように言うことができる。日本では年間103万円が「健康で文化的な最低限度の生活」を送るのに十分な額であるとされている、と。 ギョっとする「あなた」も多いだろう。年間103万と言えば月あたり8万5800円強である。もっともギョっとし憤慨するであろう「あなた」は、たとえば東京で一人暮らしをする