今週初めに発表された史上最大の経常赤字と成長率の下方修正は、「アベノミクス」の終わりを象徴する出来事だった。黒田総裁は「新興国経済がもたついている」と苦しい説明をしているが、円安で輸出が減少したという現象は、円安誘導で景気を回復させる彼の方針が裏目に出たことを示している。 これは短期的には消費税増税の前の駆け込み需要で輸入が増えたとか、原発停止でLNGの輸入が増えたという要因もあるが、JBpressにも書いたように、製造業の海外シフトの影響が大きい。これは構造的要因だが、その影響が円安で強まったのはなぜだろうか? その謎をとく手がかりになる記事を紹介しよう。右の図は日米中の国際収支を付加価値統計で見たものだ。輸出総額ベースでは日本の輸出先トップは中国(24%)で2位が米国(22%)だが、付加価値ベースでは、中国は15%で米国は19%と逆転する。二国間では、対米黒字は付加価値では総額より6割