統計数理研究所は大学共同利用機関として統計やデータ科学の人材を養成し、研究基盤を支えてきた。近年のビッグデータ(大量データ)と人工知能(AI)ブームで日本の人材不足が鮮明になっている。樋口知之所長に打開策を聞いた。 -AIブームをどう見ますか。 「AI技術が日々進化する状況だ。年や月ではなく、日単位でアイデアが共有され、技術が更新されている。従来の研究や学術界を揺るがしかねない流れだが止まらないだろう。この背景には三つの要因がある。まずディープラーニング(深層学習)が圧倒的なパフォーマンスを実現したことだ。深層学習の中身はブラックボックスになるが、それを上回る利点があった。画像やテキスト、音声データの学習はめどが立ち、動画への対応が進む。人間がコミュニケーションする情報のほとんどを機械で扱えるようになった。情報系研究者は誰でも使えるほど使い勝手が良い」 「次に計算プラットフォームが広く提供