異世界転生物といえば大抵の人は次のようなことを想像するだろう。 主人公が神様によってろくでもない理由で殺され、お詫びとして高スペックとなって異世界に転生する、転生した主人公は力を発揮して敵をばっさばっさとうち倒し、複数の女の子と仲良くなるのが通例である。 俺、八ヶ崎翠(やつがざきせん)も異世界転生ものの主人公たる典型的な人生を経て、神様にろくでもない理由で殺され、転生させられてきた。この流れはどう考えても俺が、この先複数の女の子とハーレムを構成して、楽しい生活を満喫するはずであった。 満喫するはずである。 あるはずであった。 "Harmae co es tirne?" 目の前にいる少女は銀髪蒼眼、まさに異世界転生ものに出て来て主人公とハッピーエンドで結ばれるにふさわしいヒロインなのだが、一つだけおかしいことがあった。 (さっきからこの娘、言葉が通じてないんだよなあ。) 典型的に、トラックに