約2万点。これは長崎原爆資料館(長崎市)が所有する被爆にまつわる資料の数だ。焼け野原となった市街地の写真や熱風で溶けた瓦、被爆者の罹災(りさい)証明書など、分野は多岐にわたる。一方、展示されているのはごく一部。収蔵品の目録は非公開としているため、市民や研究者による活用は望めず、多くが事実上の死蔵状態となっている。背景には資料の調査や分析を担う学芸員の人数不足がある。被爆の実相を後世に残すための施策が求められている。(共同通信=石川陽一) ▽学芸員はたったの2人 「とてもじゃないが一つ一つの資料の精査まで手が回らない。日常業務に忙殺され、研究の時間は取れない」。長崎市の担当者はそう漏らす。資料館は被爆にまつわる写真や現物資料、書類などの寄贈を受け付けており毎年、数十~数百点の申し込みがある。だが、対応にあたる学芸員はたった2人。ことしは被爆75年の節目で収集を強化しようと期間限定でさらに1人
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