ブックマーク / honz.jp (20)

  • 『隆明だもの』父親は「戦後最大の思想家」 - HONZ

    全集は月報が面白い。月報とは、全集の各巻が刊行されるごとに差しはさまれる小冊子のこと。ようするに附録である。著者ゆかりの人物がエッセイでとっておきのエピソードを明かしていたり、著者の素顔について語られた座談会があったり、附録とはいえ内容は充実している。文学研究者のあいだでも、月報は作家の人となりを知ることができる貴重な資料とされる。講談社文芸文庫には月報だけを集めたラインナップもあるほどだ。 書は『吉隆明全集』(晶文社)の月報の連載をもとにしている。著者は吉家の長女で、漫画家・エッセイストのハルノ宵子。吉家は父・隆明、母・和子、長女・多子(さわこ:ハルノ宵子)、次女・真秀子(まほこ:吉ばなな)の4人家族で、書には、ばななとの姉妹対談もおさめられている。 吉隆明(1924年-2012年)といえば、戦後思想界の巨人として知られる。とくに団塊の世代には神のように崇める人が多い。そん

    『隆明だもの』父親は「戦後最大の思想家」 - HONZ
    njamota
    njamota 2024/01/18
    「まずインスピレーションが先にあり、論理はあとから構築していた」インスピレーションに導かれない理論は誰でも思いつくわけで、そういうものこそが新しいのでは。通常科学と科学革命みたいな。
  • 『ピッツァ職人』ナポリピッツァで人生が変わった! - HONZ

    書は魅力的な「問い」からはじまる。 若きピッツァ職人を取材していた時のこと。著者は職人の言葉にちょっとしたショックを受けた。 「僕、高校に行っていないんですよ。十六の時にナポリピッツァをべて感動して、十七から東京のピッツェリアで働いて、十八でナポリに行ったので」 学校に毎日通うのが当たり前だった者からすれば疑問に思う。高校に行けない事情があったわけではなく、人いわく「いたって普通の学生」だったという。それが「ピッツァをべた感動」ひとつで、人生の方向を決めるなんてことがあるのだろうか。一方で、清々しさもおぼえていた。それは、「学校に行かない選択肢だってある」という発見がもたらした、視界が開けたような感覚だったのかもしれない。 ピッツァ職人の名は、中村拓巳。世界大会で上位入賞するほどの腕前を持つ、1985年生まれのこの若者こそが、書の主人公である。 未成年で、しかもアジア系の男子がひ

    『ピッツァ職人』ナポリピッツァで人生が変わった! - HONZ
    njamota
    njamota 2023/05/29
    「はじめから将来を見通せた者などいない。」「なにか劇的な出合いが人を変えるのではない。自分の心に正直に歩みを進めるうちに、特別な存在へと変わっていくのだ。そしてその機会は、誰にでも開かれている。」
  • 『眠りつづける少女たち』 集団発生する〈謎の病〉の原因とは - HONZ

    スウェーデンのある地域でのこと。小学校低学年から10代後半までの子どもたちに、〈謎の病〉が発生している。子どもたちは最初、不安になりふさぎ込む。そして徐々に引きこもりはじめ、口数が減っていき、そのうちまったく話さなくなる。最後にはベッドで寝たきりとなり、最悪の場合、べもしなければ目も開かなくなってしまう。そうした子どもたちの数は、2015年から2016年の間だけでも、なんと169人に達している。「あきらめ症候群」と呼ばれるこの病は、では、どうして発生しているのだろうか。 書は、そのような〈謎の病〉の原因を神経科医が追ったものである。扱われているのはあきらめ症候群だけではない。カザフスタンのかつての鉱山町で発生した「眠り病」(第3章)や、キューバ駐在のアメリカ外交官の間で流行した「ハバナ症候群」(第5章)など、8つの章でおもに7つの病がとりあげられている。著者のオサリバンは、関係者へのイ

    『眠りつづける少女たち』 集団発生する〈謎の病〉の原因とは - HONZ
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    njamota 2023/05/25
    https://note.com/yasemete/n/nb0ae88d20f76 https://gigazine.net/news/20180815-resignation-syndrome/ 難民の家族がらみの詐病という話(瑞当局があきらめ症候群の診断や治療に関する科学的根拠はないと声明)。「脳の予期と病のテンプレート」
  • 『無人島のふたり』余命宣告された作家の最期の日々 - HONZ

    訃報はいつだって突然だ。著名人が亡くなると、生放送中のスタジオに報道の人間が原稿をもって駆け込んでくる。速報は一刻も早く放送するのが鉄則だが、そこに記された名前に驚き、思わず足が止まってしまうことがある。訃報にあらかじめ心の準備をしておくことなんてできない。誰かの死に慣れることはこの先もきっとないだろう。 山文緒さんが亡くなったという報せも突然だった。 2021年10月13日、膵臓がんのため死去。58歳だった。 山さんは前年、7年ぶりとなる長編小説『自転しながら公転する』を発表したばかりだった。地方のショッピングモールで働く32歳の女性を主人公にした同作はまぎれもない傑作だった。 NHKの『朝イチ』だったと思うが、軽井沢のご自宅で、キツツキが家の外壁に開けた穴をリポーターに見せたりしながらインタビューに答えていたのをおぼえている。その時の楽しそうな表情がとりわけ印象に残っているのは、山

    『無人島のふたり』余命宣告された作家の最期の日々 - HONZ
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    njamota 2022/11/02
  • ジューディア・パール『因果推論の科学』を読む:統計を、AIを、そして科学について考える人は、ぜひ一読を! - HONZ

    ジューディア・パール『因果推論の科学』を読む:統計を、AIを、そして科学について考える人は、ぜひ一読を! 英語圏ではすでにして評価の高い、ジューディア・パールの大著『因果推論の科学--「なぜ?」の問いにどう答えるか』(原題はThe Book of Why)が、ついに翻訳刊行された。実は私は原書を読みかけて挫折していたのだが、このたび邦訳が出たのを機に、ついに読み通すことができた。そして、書を読み通したことで得たものは大きい。 ジューディア・パールは、人工知能への確率論的アプローチの導入と、ベイジアンネットワークの開発により世界的名声を確立し、「人工知能分野の巨人」とも呼ばれる人物である。ベイジアンネットワークなんて初めて聞くという人もいるかもしれない。人口知能研究の歴史という観点からざっくりその位置づけを説明すると、かつてAI研究は、「エキスパートシステム」と呼ばれるアプローチを採ってい

    ジューディア・パール『因果推論の科学』を読む:統計を、AIを、そして科学について考える人は、ぜひ一読を! - HONZ
    njamota
    njamota 2022/10/14
    科学はhow?には答えるがwhy?には答えないという常識を打破する「因果革命」の話。かつて因果を扱おうとして失敗した結果が現在の統計学であり、「因果関係に関する数学的言語」を作ろうとしている第一人者の解説本。
  • 『政治学者、PTA会長になる』これぞ街場の民主主義!政治学者が世間の現実と向き合った1000日の記録 - HONZ

    「その悩み、○○学ではすでに解決しています」みたいなタイトルのを見かけることがある。あなたが日々の仕事で直面する悩みや課題は、すでに最新の学説や理論で解決済みですよ、というわけだ。 だが当にそうだろうか。最新の学説や理論を応用すれば、世の中の問題はたちどころに解決するものだろうか。 著者は政治学を専門とする大学教授である。「話すも涙、聞くも大笑いの人生の諸々の事情」があって、47歳にして人の親となった。小学校のママ友やパパ友のほとんどは干支一回り以上年下だ。そんなママ友からある日「相談があります」と呼び出され、いきなりこんなお願いをされた。 「来年、PTA会長になってくれませんか?」 まさに青天の霹靂だ。驚いた著者は必死に出来ない理由を並べ立てる。「フルタイム・ワーカー」だから無理!「理屈っぽくて、短気で、いたずらにデカいジジイ」だから無理!ところがママ友は決してあきらめず、最後は情に

    『政治学者、PTA会長になる』これぞ街場の民主主義!政治学者が世間の現実と向き合った1000日の記録 - HONZ
    njamota
    njamota 2022/05/26
    「「言葉を受け入れる基盤のない人に伝わらない言葉を投げつける」ことの未熟さに著者は気づく。お互いの異なるところばかりが目に入り、共有地平がきちんと存在することを忘れていた。このことに気づいたのが転機」
  • 『あなたは、なぜ、つながれないのか ラポールと身体知 』 - HONZ

    2015年10月、池袋・某書店の人文書フロアで、私は立ち尽くしていた。棚に面出しで置かれた『あなたは、なぜ、つながれないのか』を前に、動けなくなっていたのだ。正直レジに持っていくには、少し勇気の要るだった。実際、その日カゴに入れていたは詩集ばかりで、書は当時の自分が手に取る系統のではなかった。 それでも、刊行当初から否応なく気にかかる一冊だった。タイトルが目に飛び込んでくる度、反射的に目をそらしたくなる自分がいた。『あなたは、なぜ、つながれないのか』。他者と打ち解けることができない自分の弱さを責められているような不安、弱さを突きつけられることへの恐れ、それでも「他者とつながりたい」という気持ちがせめぎ合い、整理できない感覚に陥った。 「人に壁を作ってるよね」と冗談交じりに指摘され、内心図星だった学生時代。「そんなコミュニケーションの仕方じゃダメだ」と非難され、反省する一方で、「当た

    『あなたは、なぜ、つながれないのか ラポールと身体知 』 - HONZ
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    njamota 2019/12/29
    コミュニケーションの双方向性。言語情報を離れたフィジカルな情報。
  • 麻酔で意識が落ちた時、何が起こっているのか──『意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか』 - HONZ

    麻酔で意識が落ちた時、何が起こっているのか──『意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか』 歴史、特に最悪の医療の歴史などを読んでいると、あ〜現代に生まれてきてよかったなあと、身の回りに当たり前に存在する設備や技術に感謝することが多い。昔は治せなかった病気が今では治せるケースも多いし、瀉血やロボトミー手術など、痛みや苦しみを与えるだけで一切の効果のなかった治療も、科学的手法によって見分けることができるようになってきた。 だが、そうした幾つもの医療の進歩の中で最もありがたいもののひとつは、麻酔の存在ではないか。正直、麻酔のない世界には生まれたくない。切ったり潰したりするときに意識があるなんてゾッとする──現代の医療に麻酔は絶対絶対必須だ。そのわりに、患者に麻酔を施す麻酔科医の仕事は光が当たりづらい分野である。何しろ実際に手術や治療を担当することはめったにないから、麻

    麻酔で意識が落ちた時、何が起こっているのか──『意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか』 - HONZ
    njamota
    njamota 2019/12/25
    静脈麻酔したことあるけど、意識レベルが全体に下がっていくというより、デジタル画像が全体に均一な分布で画素ごとに欠落していくような感じだった。
  • 『死すべき定め 死にゆく人に何ができるか』 - HONZ

    死は生の対極ではなく、まぎれもなく生に内包された概念である。それでも我々は、豊かに生きることに精いっぱいで、「豊かに死ぬ」ために必要なことを、あまりにも知らない。かつてないほど長生きをするようになった現代社会だからこそ、見落としてしまうことの数々。現役外科医にして「ニューヨーカー」誌のライターでもある著者ガワンデが、「生と死の狭間」の意味を痛切に問いかける。(HONZ編集部) 『死すべき定め』は人を変える ガワンデのの翻訳を手がけるのはこれで2冊目である。『医師は最善を尽くしているか』(みすず書房、2013年)のときのあとがきに私はこう書いた。 初校を校正しながら、私は読まされた。読まされるという感じで、ついつい先はどうなるかと読みた くなるのである。すべては自分が翻訳した自分で書いた文章である。先がどうなるかも知っている。 なのに読みたくなる。 今

    『死すべき定め 死にゆく人に何ができるか』 - HONZ
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    njamota 2019/09/03
    『死すべき定め 死にゆく人に何ができるか』作者:アトゥール・ガワンデ 翻訳:原井 宏明 出版社:みすず書房 発売日:2016-06-25「ガワンデは科学を正確に理解し、エビデンスに基づく心理学のみを選んで紹介」
  • 『子どもができて考えた、ワクチンと命のこと。』 - HONZ

    書の原書は、2014年9月にアメリカで刊行されたOn Immunity: An Inoculationである。著者のユーラ・ビスはノースウェスタン大学でライティングを教えている文筆家だ。これまでの著書に、The Balloonists およびNotes from No Man’s Land: AmericanEssays がある。後者はアメリカにおける人種と人種に基づくアイデンティティをテーマにしたエッセイで、全米批評家協会賞を受賞した。彼女のエッセイは、『ビリーバー』『ハーパーズ』『ニューヨーク・タイムズ』などの媒体にも掲載されている。 近ごろアメリカでは、自分の子にあえて小児ワクチンを接種させない母親が増えていて、麻疹が突発的に流行するような事態が生じている。そうした母親のおおよそのプロフィールは、白人で高学歴、社会経済的に恵まれた女性だ。1970年代後半に生まれたユーラ・ビスはまさ

    『子どもができて考えた、ワクチンと命のこと。』 - HONZ
    njamota
    njamota 2018/05/15
    「ワクチンに対する不安を歴史的な観点と、現代社会の観点から分析し、それが何を意味するのかを、言語(メタファー)や文学作品、時事問題に探す」
  • 『反ワクチン運動の真実 死に至る選択』 - HONZ

    書『反ワクチン運動の真実』は『代替療法の光と影』に続き、地人書館から出版されるポール・オフィットの2冊目の著書となる。 ポール・オフィットは1951年生まれ、感染症、ワクチン、免疫学、ウイルス学を専門とする小児科医である。ロタワクチンの共同開発者の一人であり、米国屈指の名門小児科病院であるフィラデルフィア小児科病院で長らく感染症部長を務めた後、現在はペンシルバニア大学医学大学院の小児科教授として教鞭をとるほか、フィラデルフィア小児科病院ワクチン教育部長も務めている。 1999年に『予防接種は安全か――両親が知っておきたいワクチンの話』日評論社(2002)と抗生物質の使い過ぎをやめようと呼びかける親向けのを出版、その後、書にも登場するポリオワクチンでポリオに感染した子供が出たカッター事件を扱った、『カッター事件』(未訳)を2005年に執筆出版したのを機に、2017年に出版された『パン

    『反ワクチン運動の真実 死に至る選択』 - HONZ
    njamota
    njamota 2018/05/14
    「こどもたちを挟んで、医師と親たちが静かな戦争をするなど本来あってはならないことなのだ」大人達が子供をダシにして自分自身の救済を求めてる。自分の欲求を正しく理解しないと、子への不利益波及が止まらない。
  • 社会分断による英国の『チャヴ 弱者を敵視する社会』は日本の近未来かもしれない - HONZ

    『チャヴ』、聞き慣れない言葉である。もとはロマ族の「子供」を指す言葉「チャヴィ」から来た、英国において用いられる「粗野な下流階級」を指す蔑称である。いくつかの英語辞典を調べてみると、「生意気で粗野な態度によって類型化される若年下流階級(オクスフォード英語辞典)」、「教養の欠如や下流階級であることを、その衣服や話し方、行動があらわすような人を示す蔑称。通常は若者を指す。(ケンブリッジ英語辞典)」、「たとえ高価であっても、その趣味が低俗であるとされる若い労働者階級(コービルド英語辞典)」などとある。 さんざんな物言いである。しかし、これらの定義を全部あわせても、チャヴという言葉を正しく理解するには足りないようだ。そこには「公営住宅に住んで暴力的」、「中流階級の謙虚さや上品さがなく、悪趣味で品のないことにばかり金を使う浪費家」、さらには、「暴力、怠惰、十代での妊娠、人種差別、アルコール依存」とい

    社会分断による英国の『チャヴ 弱者を敵視する社会』は日本の近未来かもしれない - HONZ
    njamota
    njamota 2017/09/15
    チャヴと呼ばれる「粗野な下流階級」は、自助努力の不足で貧困にあると思われており、差別の対象となっている。弱者に対する敵意、嫌悪。
  • 数奇な運命をたどった本 『ある奴隷少女に起こった出来事』 - HONZ

    新潮文庫のラインナップに、新たな古典名作が加わった。しかし、『小公女』や『若草物語』のようなフィクションではない。著者自身が序文で「読者よ、わたしが語るこの物語は小説ではない」と言明している通り、「ある奴隷少女」人が奴隷制の現実をつづった世にも稀なる手記なのである。アメリカでは、すでに大ベストセラーになっているが、日でも長く読み継がれるになるに違いない。 内容に入る前に、書がたどった数奇な運命についてふれたい。書が刊行されたのは、1861年である。作中人物が存命だったため、「リンダ・ブレント」というペンネームで執筆され、一般的には、白人著者によるフィクションとみなされて読まれた。奴隷解放運動の集会などで細々と売られたが、次第に忘れ去られ、関係者の死とともに著者・ジェイコブズとのつながりも分からなくなっていった。 転機が訪れたのは、出版から126年を経た1987年。歴史学者がジェイ

    数奇な運命をたどった本 『ある奴隷少女に起こった出来事』 - HONZ
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    njamota 2017/07/09
    『ある奴隷少女に起こった出来事』 (新潮文庫) 作者:ハリエット・アン ジェイコブズ
  • 『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』失敗と、どのように向き合うのか? - HONZ

    書の帯に、「英タイムズも絶賛!22ヵ国刊行の世界的ベストセラー、ついに日に上陸!」とあるので、その言葉に釣られて買ってみたが、確かにその通りの素晴らしい内容だった。 『失敗の科学』というタイトルからは、直ちに「失敗学」を連想する。これは、『失敗学のすすめ』 で有名な東京大学の畑村洋太郎名誉教授が提唱した新しい学問分野で、起きてしまった失敗に対し、責任追及のみに終始するのではなく、物理的・個人的な直接原因と背景的・組織的な根幹原因を併せて究明しようとする、安全工学に経営学などの要素を加味したものである。 しかしながら、書はこうした失敗の工学的メカニズムを明らかにするだけでなく、更に「人間が失敗から学んで進化を遂げるメカニズム」に焦点を当て、我々が進化を遂げて成功に至るカギは、「失敗とどう向き合うか」にあることを明らかにしている。 書では、まず航空業界と医学界という二つの業界を取り上げ

    『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』失敗と、どのように向き合うのか? - HONZ
    njamota
    njamota 2017/02/04
    失敗から学ぶのが成長。そのためには成長の可能性を信じ批判を受容する態度が必要、と。その態度を支持するのが基本的信頼感では。愛が合理的真理を導く基盤を構築する。批判を通じた進歩はまさしく社会的営み。
  • 『学びとは何か』乳幼児の言語発達から超一流の学びまで - HONZ

    記憶と知識の違いは何か、そもそも幼児はどのようにして言葉を学びはじめるのか、覚えても使えない知識と新しいことを生み出すことができる知識は何が違うのか、凡人と一流、そして超一流の学び方の違いは何か。「学び」についての疑問は、人生のどの局面においても好奇心をそそられる。 しかし、何を「学び」と定義するかはひとりひとり違う考えを持っており、「よい学び」という価値判断を含んだ問いが提示されれば、多くの人が自分の経験から自説を展開し、議論を論理的に収束させることが難しい。 現在のところ、共通見解となりうる「学び」の全メカニズムは解明されてはいないが、新たな道具や方法が開発され、新たな発見がなされ、「学び」について以前よりも明らかにされている。さまざまな分野で研究が進む「学び」であるが、書では認知科学の視点から深遠な学びの世界を明らかにしていく。 認知科学はヒトのこころの成り立ちと仕組みを明らかにす

    『学びとは何か』乳幼児の言語発達から超一流の学びまで - HONZ
    njamota
    njamota 2016/03/27
    「誤った思い込みを持つことは不可避であるが、誤った思い込みにどう対処するか、ここに熟達する道とそれ以外の道の分岐点がある」優れた科学者は思い込みの破壊と創造に躊躇なく粘り強く取り組むと。
  • 真実はひとつ。人はそれにたくさんの名前をつけて語る──『千の顔をもつ英雄』 - HONZ

    果たして、英雄に惹きつけられない人がいるだろうか? といえば、もちろんいるにはいるのだろうが、大抵の場合英雄とは憧れ、理想的な対象として存在している。神話におけるヘラクレス、あるいは仏教におけるブッダ、アーサー王にイエス・キリスト。神話クラスの人間でなくとも数十数百といった年数を語り継がれてきた民間伝承やお伽話には数限りなく人間の弱さを克服し前に進む英雄の姿が描かれている。 個々の作品に対する好悪や、英雄が理想像であるかどうかは人によって様々としても、それらは多くの人間を惹きつけてやまないからこそ生き残り続けてきたのだ。しかしなぜ、どのような理由が人を英雄に惹きつけるのだろう。そこには数式のようにきっちりとしたものではないにしても、普遍コードのような物が存在しているのであろうか。 書『千の顔を持つ英雄』は、スター・ウォーズの生みの親ジョージ・ルーカスがその著作に影響を受けていることを表明

    真実はひとつ。人はそれにたくさんの名前をつけて語る──『千の顔をもつ英雄』 - HONZ
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    njamota 2015/12/26
    ジョーゼフ・キャンベル著。膨大な量の神話・民間伝承を引きながら、英雄譚の構造を明らかにしていく。「私たちのために宗教上の人物や神話に出てくる人物の形に変えられてしまった真実を、明らかにする」
  • 『あなたが世界のためにできる たったひとつのこと <効果的な利他主義>のすすめ』 - HONZ

    チャリティを、情緒でなく数字で考えたらこうなった! 書『あなたが世界のためにできる たったひとつのこと』は、ピーター・シンガーがシリコンバレーから広がる新たなライフスタイルの全貌を描き出した一冊。誰がために金を稼ぎ、何のために金を使うのか? そしてなぜ今「効果的な利他主義」なのか?(HONZ編集部) こんな場面を思い浮かべて下さい。あなたの目の前に、栄養失調で死にそうな子供が倒れています。そして、あなたの手の中には、分け与える水もべ物も十分にあります。それを倒れている子供にあげたとしても、あなたが困ることはなにもないとしましょう。あなたは手の中のべ物を、子供に差し出しますか? たいていの人はおそらく、「差し出す」と答えるでしょう。私たちの大多数は、目の前で倒れている子供を見殺しにできるほど、自分は残酷な人間ではないと思っているはずです。ですが、当にそ

    『あなたが世界のためにできる たったひとつのこと <効果的な利他主義>のすすめ』 - HONZ
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    njamota 2015/12/21
    身近な人の命と遠く会ったこともない人の命を同じ重みと考えるのは理性。同じ出資で最大の支援を生み出すような寄付をしよう、それを可能にするのは理性である、という本。
  • 『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』文明再起動マニュアル - HONZ

    先週末30年ぶりにシリーズ続編として公開された『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は突き抜けて凄まじい、破壊的なエンターテイメントだった。崩壊した地球文明の後に残った脳筋の男共が滅茶苦茶に改造されもはや原形が何だったのかさっぱりわからない車とバイクに跨り、何故か火を吹くギターを持って、裏切り者の女共を追いかけ上映時間の殆どをカーチェイスに費やす。走れども走れども砂漠以外何も見えない、荒廃した大地。資源は限られ少ない物資をヒャッハー!! と、暴力によって奪い合う、力こそ正義! な地獄絵図な世界が広がっている。 しかし、仮に核戦争なり宇宙人の侵略なり異常気象なり隕石の衝突なり、原因をどこに求めるにせよ、文明がいったん崩壊してしまったとしたら、当にそんな破滅的な状況になるのだろうか? 失われてしまった文明はもはや戻らないのか? 逆に復興できるとしたら、どうやって? 書は書名である『この世界

    『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』文明再起動マニュアル - HONZ
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    njamota 2015/06/25
    「この穴に棒が入ると思うと述べるのが主観であり感想だ。そして穴に棒を実際差し込んでみて入るか入らないかを確かめるのが客観であり実証だ」科学の方法。
  • 無能な研究者のずさんな仕事……なのか?  除草剤アトラジン問題のゆくえ - HONZ

    除草剤アトラジンをめぐる長年の論争がひとつの山場を迎えているようで、『ニューヨーカー』の2月10日号にホットなレポートが載っていました。アトラジンは日でも使われている除草剤でもあり、今後の成り行きが注目されます。 が、今回の記事はアトラジンの性質というよりもむしろ、医薬品や農薬などの安全性を調べている科学者が、その製品を製造販売している企業にとって好ましくないデータを出してしまったらどうなるのか--しかもそこに巨額の金が絡んでいるときには--という、われわれとして知っておくべき残念な事実に関するものでした。 除草剤アトラジンの問題は、両生類(とくにカエル)の内分泌学を専門とする、タイロン・ヘイズという研究者を抜きにしては語れないようで、『ニューヨーカー』の記事もヘイズを軸として展開されていました。 ヘイズは、サウスカロライナ州出身のアフリカアメリカ人で、彼が生まれ育った地域では、人口の

    無能な研究者のずさんな仕事……なのか?  除草剤アトラジン問題のゆくえ - HONZ
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    njamota 2014/03/10
    「企業にとって「不都合な研究」の「信用を落とす」という戦略」が実際に広く存在するという話。科学が”信用”で評価される以上、こういうのはなくならない。科学が科学的に評価されれば、こんなの効果ないのに。
  • 科学者は自らの学説に殉じるべきか - HONZ

    来年はガリレオ・ガリレイの生誕450周年ということで、それに合わせていくつもの研究書が出版されているようです。そういう研究書の多くは、新たに公開されたバチカンの異端審問関連資料を使ったもの。 とはいえ、その資料から明らかになったのは、まあ、あの時代、あの状況で、ガリレオにああいう態度(ポリティカルにあまり賢明とは言えない態度)を取られたら、ローマ・カトリック教会としては、ああするしかなかったよね……という、「ガリレオがもう少し賢く立ち回ってくれていたら、あんな無体なことはせずにすんだのに」的な教会サイドの言い分に共感したくなりそうな状況だったもようです。 しかし、それを言ったらおしまいなんですけどね。所詮は、「大人しく言うことを聞けば、手荒なことはしない」という脅しなわけで……。あの裁判が複雑微妙できわめて政治的だったことは間違いないにせよ、「教会は拷問で脅してガリレオに自説撤回を強いた」

    科学者は自らの学説に殉じるべきか - HONZ
    njamota
    njamota 2013/06/02
    「しかしこのことは…今日的な科学者の社会的責任といった文脈からすれば、がらりと違ったニュアンスを帯びる大きなテーマになるわけですが、それはまた別のお話」そっちを読みたい
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