最大の懸念は、進展の速いAI技術に対する活用熱意の後退だ。企業ではプロジェクトの成果が可視化しづらいと継続投資が難しくなる。また、日本の企業文化では成功事例を囲い込む傾向にあり、社会全体としての変化につながりにくいと述べた。政権交代や政局の混乱により、AI政策への関心が薄れる可能性もあるとみている。 労働力不足が深刻化する日本では、AI戦略の可否が経済の維持に直結する重要課題となっている。経済産業省はこれを「2025年の崖」と位置付け、デジタル化への体制が整わなければ25年以降、年間12兆円の経済損失が生じる可能性を指摘している。 国内では、著作権の問題や偽情報、判断プロセスの信ぴょう性などを巡り、AI技術に対して懐疑的な見方もある。松尾氏は、技術利用に当たっては試行錯誤をして成果につながるまでやり遂げられるかが問われており、日本社会が「変化を当たり前」と捉えて官民一体で推進する意識変化が