気鋭の建築家でSUPPOSE DESIGN OFFICE共同代表の谷尻誠さんが、映画プロデューサーの川村元気さんの紹介で、映画監督の細田守さんと最初に会ったのは2年半前。「ごはんでも」という何の気なしの会食で世間話程度に出たのが、現在公開中『未来のミライ』の話題だった。4歳の男の子"くんちゃん"を主人公に描く物語、その主な舞台はくんちゃんが家族と暮らす「家」だ。映画のもう一つの主役ともいうべき存在感を放つそれは、傾斜地を利用したステップフロアで構成された個性的なもの。大きな話題となっているのは、これを実際の建築士事務所で、谷尻さんを中心としたチームが「設計」していることだ。映画に登場する家を実際の建築家が手掛けるなんて、これまでほとんど聞いたことがない。 細田作品に共通する「坂道」に代わる、階段状の家「おとうさんが建築家という設定で、奥さんの意見は強そうだけど、建築家魂がどうしても捨てきれ