この本のタイトルを見たとき、心底驚いた。まともな研究者は、基本的に専門外の領域に口出ししない、という不文律がある。それが、大胆にも鳥類学者が恐竜を語るというのだ。 こういうことをする輩は、とてつもなく優秀かアホかのどちらかと相場は決まっている。「世のなかには2種類の人間がいる。恐竜学者と鳥類学者だ」。冒頭にある意味不明な文章を読んだだけで、とりあえずアホの可能性が高そうである。 タイトルには「無謀にも」と断ってあるから、それなりの謙虚さを漂わせているふうではある。しかし、「矛盾には気づかぬふりをし」、「包括的な大いなる愛をもって」、「ほころびに目をつぶり無批判に」、「協力的読法」で読んでほしいと懇願するとは何事だ。本を書く人は誰もがそう思っている。何を隠そう私もそうだ。しかし、こういうことは、恥ずかしいから書かへんのが普通やろ。 「はじめに」を読み終わったあたりで、早くも読者は二通りに分か