豪奢なディナーで終わる『バベットの晩餐会』をとりあげた前回とはがらりと変わり、今回は地味な映画をとりあげようと思います。ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟が監督した2014年のフランス・ベルギー・イタリア合作映画『サンドラの週末』です。2015年に日本でも公開されました。労働という観点から語られることが多い作品ですが、この作品は女性が主人公で、ジェンダーの観点からも見るところがいろいろあります。 ベルギー出身のダルデンヌ兄弟は、ヨーロッパにおける労働や貧困をリアルに描く作風が特徴です。撮影方法が独特で、手持ちカメラを使ってわざと手ぶれを出したり、人物を背後や側面などから撮ったりすることを好んでいます。揺れる画面は手ぶれで酔いやすい人にはきついですし、またわざとドキュメンタリー映画のように撮影する手法からかえって「作られたリアリティ」とでもいうべきものを感じてしまってあまり映画に入り