承前。 相続はなぜ認められるのだろうか。ある人の連れ合いや子どもであることが、その人の死後に財産を無条件で譲り受ける権利を発生させるのは、なぜなのだろうか。相続については、相続税をもっと引き上げて――場合によっては100%にして――所得再分配に活用するべきだという意見がある一方、むしろ引き下げて――場合によっては廃止して――自由な経済活動を促進させるべきだという意見もあり、面白い論点が提供されているが、そもそも相続制度とは何であるのかを突き詰めて考えた議論はあまり多くない。相続財産に課税が許されるのはなぜかという疑問を呈することも可能ではあるが、そもそも課税には根拠など無いので、それは有意義な疑問とは言えない。むしろ、所有権者が死亡した後に、彼の財産が無主物や共有物にならずに、自動的に特定人物へと承継される制度の根拠を問うた方がいい。 教科書的な定義を持ち出すなら、相続とは「自然人の財産法
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