中沢さんの著作(註1)は『チベットのモーツァルト』以来読んでいて、中沢さんを通してラカンやハイデガーの思想を学びましたし、『対称性人類学』の「対称性」はとても大事なことだと思いました。『野生の科学』までの流れは、私が生命誌で20年間求めて来たことと重なり、もう少し理論的な軸が欲しいと思って、今日はお話を伺いにきました。 私の家は国分寺崖線(註2)にあり、丹沢の向こうに富士が見えます。山に沿ってお日様が毎日動き、夏至と冬至にダイヤモンド富士になる。地動説を知っていても動くのは太陽です。東京の古くからある道は正面に富士山がくるようにできていますし、中沢さんの言われる「野生の科学」は、このような山や太陽という形で私たちの中にあるような気がします。