管理社会における「匿名の自由」 「自由を考える 9・11以降の現代思想」 東浩紀・大澤真幸著 NHKブックス(264p)2003.4.30 1020円 いま僕たちはどんな時代を生きているのか? そんなことを考えるために、定点観測をするように読みつづけている何人かの書き手がいる。吉本隆明のように、30年以上つきあってきた著者もいるし(最近の老いと病をめぐる著作は、かつてとは別の意味で時代の深いところに届いている)、途中でつきあうのを止めてしまった著者もいる。 要するに、面白いから読みつづけているのだし、つまらないから止めてしまったのだが……。東浩紀は、そんなふうにして読みつづけている数人の書き手のうち、いちばん若い1971年生まれの学者、批評家だ。 哲学畑の出身で、時に現代思想系のむずかしい文章を書くけれど、アニメの「エヴァンゲリオン」やゲームなどのサブカルチャーを取りあげたりもするから、「