自分の過ちを認めたくないあまりに過ちはないと信じこむ「自己欺瞞」、自分ではなく他人にとってよいことを最終的な目的として行為する「自己犠牲」。いずれも、自分自身のことであってもうまく説明のできない非合理的な事態である。この謎めいた事態を論理学を使って明確に語りなおし、私たちの「合理性」と「非合理性」の実際に迫る。 はじめに 第I部 自己欺瞞 第一章 自己を欺くとはどのようなことを言うのか 1 自己欺瞞の構成要素 2 矛盾する信念は共存可能かという問題 3 自己を欺くことは行為であるかという問題 第二章 信念の論理と高階の自己欺瞞 1 信念の論理 2 モンテーニュ=ヒンティッカ型の自己欺瞞 3 フロイト=デイヴィドソン型の自己欺瞞 4 高階の自己欺瞞 第II部 自己犠牲 第三章 自己犠牲的行為ははたして可能か 1 マザー・テレサのパラドックス 2 人はかならず自分にとってよいと思うことをしよう