プラント建設プロジェクトでは,コントラクタ(元請けのエンジニアリング会社)は契約前はいろいろと顧客の要求を受け入れますが,契約後は要求を断ります。要求を受け入れざるを得ないときは,顧客に追加費用を請求して,赤字にならないようにプロジェクトを運営します。なぜ要求を断れるのかというと,契約書に「技術仕様と範囲」が明示されているからです。 第2回で述べたように,プラント建設プロジェクトでは詳細なRFPが作成されます。エンジニアリング会社は,このRFPに基づいて,どんな範囲のサービスを提供するのか,どんな機器設備を提供するのか,どんな性能を保証するのかを見積書に明記します。RFPに書かれていない機器やサービスについても,性能を保証するために必要であれば,見積書に明記します。これを見落とすと,コントラクタの責任になるからです。内容があいまいで将来問題を起こしそうなところも,提供範囲を明確に書きます。