さかなクンはハコフグであり、長く海中で暮らしてきた。もともとは珊瑚礁に棲んでいたが、旺盛な知識欲から回遊魚になることを決心し、以後日本近海を中心に世界中の海を泳ぎまわる。ハコフグは越冬することが難しく成魚になることが稀であるが、さかなクンは日本で冬が来る前に赤道近辺やオーストラリアまで泳いで行くなどして越冬を重ねて生き延びた。2008年2月、ハコフグとしては驚異的とも言える33回目の越冬を経た。 大航海時代のオウムと同じように、世界の海を巡ったさかなクンはいつしか人語を理解するようになった。とりわけ日本近海にいることが多かったため、専ら日本語を話す。またルドルフとイッパイアッテナのように絵や文字を書くことを覚えた。12回目の越冬を迎えたころには魚類界ではかなりの高齢であり、その人生経験ならぬ魚生経験を生かして、気難しいカブトガニの育ての親にもなった。 また見識の高いさかなクンは人間による海