防衛大臣時代からの「怪物ぶり」 『女帝 小池百合子』(石井妙子・文藝春秋)を読了した。政界を上り詰め、今は東京都知事の職にある小池氏。その等身大の姿を描いた渾身のノンフィクションだ。 短い期間とはいえ、防衛相と記者という立場で小池氏と接した私の読後感は、共感を意味する「やはり」のひと言に尽きる。 小池氏が防衛相の職にあったのは、わずか55日間だったが、身近で見た小池氏の姿は『女帝』に描かれた人物像とぴたり重なる。帯に書かれた「救世主か? “怪物か”」との言葉通り、救世主として防衛省に現れ、“怪物”として去って行った。 お膳立ては揃っていた。 前任の久間章夫防衛相は講演会で、米国が広島と長崎に原爆を投下したことについて、「あれで戦争が終わったんだという頭の整理で、今しょうがないなと思っている」と述べた、いわゆる「原爆しょうがない」発言の責任を取って辞任した。これを受けて、小池氏は2007年7