クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」。 4000人近い乗客・乗員の間で、新型コロナウイルスの感染が急速に広がる未曽有の事態となった。3月1日現在、感染者は乗客・乗員の2割にのぼり、7人が死亡した。 政府の対応が「後手」に回ったと、国内外から厳しい批判にさらされている。 クルーズ船で何が起きていたのか。政府関係者や専門家に取材した。 (木下隆児、宮川友理子) 「そこまで広がらない」薄い危機感 当初、政府に危機感は薄かった。 ある政府関係者は取材に対し、「体調不良を訴えている人の検査が陰性であれば、船全体を陰性とみなせるようだ」と話していた。 こうした見立てを踏まえ、政府は当初、発熱やせきなどの症状がある人や、そうした人たちに濃厚接触した人に限り、ウイルス検査を行うこととした。ウイルス検査の1日の処理件数に限界があることも理由だった。 そして、体調が良好な乗客の下船は認める方向だった。 「ク