しかし、最近になっても、政府機関、有識者、メディア報道等において、李克強指数で中国経済を判断している例は枚挙にいとまがない。そこで改めて、この問題について論点を整理してみたい。 李克強指数というのは、以前李克強総理が総理に就任する前に、中国の経済指標で信頼できるのは、電力消費量、鉄道貨物輸送量、中長期の銀行貸し出しの3つであると述べたことから、このような名前が付けられた。 結論から言えば、李克強指数を見て中国経済を判断できた時代は過ぎ去った。10年前であれば、ある程度意味のある指標だった。 その後、中国経済の構造は大きく変化したため、今では李克強指数を見て判断すれば、確実に実体経済に比べて下方バイアスがかかる。したがって、中国経済を客観、中立的に分析する場合には李克強指数を用いるべきではない。以下ではその理由を説明する。 2.中国経済のサービス化 李克強指数に含まれる3つの指標のうち、電力