近年、熊本県山鹿市で生産されるシルク(絹)に注目が集まっている。生産するのは熊本市に本拠を置く企業、あつまるホールディングスだ。同社は完全無農薬栽培した桑葉を人工飼料に加工し、クリーンレベルや温度・湿度を徹底管理した工場内で養蚕をすることで、1年中繭(まゆ)を生産できる体制を整えた。従来、養蚕はカイコの餌となる桑葉が穫れる時期だけの季節産業だった。この「新養蚕業」を確立した同社製シルクの応用範囲は絹織物にとどまらない。特に可能性が見いだされているのは医療器材への応用で、取引先では同社製シルクを使った研究開発が進む。あつまるホールディングスは求人情報サービスを手がける企業。なぜ異業種から斜陽産業である養蚕業に参入したのか。シルクが持つ素材としての可能性とは。この事業が地域振興を含めた周辺領域・周辺分野に与える影響は。あつまるホールディングスの関連会社、あつまる山鹿シルク代表取締役社長・島田裕