東日本大震災をきっかけに福島県から松山市に移り住んだ図書館司書、泉浩さん(41)が、震災の甚大な被害や被災地の現状を伝える写真展を、県立図書館(松山市堀之内)で開いている。泉さんは「震災の記憶を風化させないように、東北から離れても被災地の今を発信していきたい」と思いを語る。(石黒彩子) ◇松山に帰郷の泉さん「風化させない」 泉さんは松山市出身。25歳で司書の資格を得て福島県職員になった。同県いわき市で高校の司書を務め、家族3人で平穏に暮らしていたが、2011年に震災が発生。東京電力福島第一原発事故の影響がやまず、今年4月に家族と共に松山に戻った。 司書の経験を買われ、県立医療技術大図書館(砥部町高尾田)で働き始め、松山での生活はじきに軌道に乗った。しかし、市民の脳裏から震災の記憶が薄らぎつつあることに、福島との温度差を感じる日々が続いた。 福島での司書時代に様々な企画展を手がけたことを思い