ひぐちアサのマンガ「おおきく振りかぶって」が面白くて熱中してしまう。高校野球を異常に微分的に描いたマンガで、驚いたことに既刊7巻の単行本、連載期間3年以上を費やして、なんと高1夏の甲子園予選の1試合目が終わっていないのだ。こんな異常な展開の原因は試合の描写が、ほぼ1プレーどころか1球ごと、キャラクターの一挙手一投足ごとに描かれているからで、こんなペースで続いたら20年たっても30年たっても終わらない(これがあながちあり得なくないのは、作者が平気で「私はこのマンガを一生描いていたい」などと発言しているからだが)。最初から最終回みたいなテンションを一貫して持続させているのが「おおきく振りかぶって」というマンガで、こんな自爆するに決まっているような無茶は、一体どこから来ているのか興味を持たざるを得ない。 刺激的な言い方だが、ひぐちアサという人はマンガが描けない人だと思う。それはまず第一に画力の問