Love,Hate,Love. [作]ヤマシタトモコ[掲載]2009年9月27日[評者]南信長(マンガ解説者)■初々しくも古風な年の差の恋 枯れた中年男を好む女子の嗜好(しこう)を“枯れ専”なんて呼ぶけれど、本書の主人公の場合はどうか。バレエに打ち込み、恋愛らしい恋愛もしてこなかった28歳。ダンサーとしての限界を感じ、舞台を降りることを決めた彼女が、ひょんなことから隣室に住む52歳の大学教授と知り合う。その落ち着いた物腰、丁寧な言葉遣いは、彼女の知っている男たちとは違っていた。 ふたまわりも上の男に惹(ひ)かれ始めている自分に戸惑う彼女が、それを恋と自覚するシーンがまず秀逸だ。彼女の心に響いた男のセリフ、控えめなのか強引なのかわからない彼女の告白、それに応じた男のいささか間の抜けた返答。その一連のやりとりが初々しくもいとおしい。そしてまた、28歳にして処女であること、52歳という老いの忍び