手元に「キエフ 危機と平穏」という見出しが付けられた2月15日の読売新聞朝刊の記事がある。連日、北京冬季五輪で熱戦が繰り広げられる一方で、ロシア軍の侵攻が懸念されていたウクライナの首都キエフ(キーウに呼称変更)をルポした記事で、バレンタインデーを前に多くの市民で賑わうショッピングモールの様子が紹介されていた。そこにはテーブルを挟んで笑顔で語り合う親子や若者たちの姿があった。 だが、そのわずか10日後、世界はロシア軍の空爆で負傷した血まみれの女性や黒煙を噴き上げる建物の様子を報じることになる。2月24日、ロシア軍はキーウや北東部のハリコフ、南東部のマリウポリなど複数の都市をミサイル攻撃し、記事にあったキーウのショッピングモールも焼け落ちてしまった。 記事の中で、生後半年の乳児を抱え、「緊急時は地下の避難所に駆け込むことをたたき込まれている」と気丈に語っていた女性(26歳)は無事だろうか。そし