竹内好の論文「近代の超克」を再読したので、感想を簡単にメモしておきます。 ぼくの手元にあるのは、筑摩書房の現代思想体系というシリーズの4、「ナショナリズム」という巻である。この巻の編集は吉本隆明。 初版1964年となっているものの第6刷で、68年に出たものらしい。 この本には竹内のほか、山路愛山、高山樗牛、徳富蘇峰、中野正剛らの論文が収められているうえに、吉本による解説「日本のナショナリズム」(分かりにくい)が付されている。 ぼくはこの本を、近所の古本屋で100円で買った。本もきれいだし、掘り出し物だとおもう。 さて、竹内の論文「近代の超克」だが、1959年発表となっている。この本に収められた論文のなかでは、吉本による解説を除けば一番新しい。というか、それ以外はすべて戦前の文章なのだ。 この点にすでに、戦後の日本の思想のなかで「ナショナリズム」なるものがどのような位置におかれてきたかが垣間