タイトルは「言語学なんでも(あり)研究会」とかいうのがあるらしいよ、という意味の方言です。 五十路を前に大学院に入り直し、遅れ馳せながら研究生活を始めてはや2年になる。三十代半ばで言語学に目を開かれて、しかし一度は断念した道にまた戻れたのは、幾多の学恩に恵まれた僥倖というほかない。先生たちはもとより、今は二十も年下の先輩たちに教えを仰ぎ、さらに若い学生たちと議論を重ねる日々、もうぶれないと決めた道は楽しくも険しい。 授業が好きで授業に出まくっているためによく先生に叱られた。一番大事なのは研究なのだ、優先順位を間違っているのではないかという指摘はよくわかるのだが、しかしこの世には聞いておくべき授業というものがあり、授業でしか得られない知見というものがある。とはいえ人間の時間は有限で、人生の終わりも視野に入ってきた。かちかち山のたぬきのような人生が愚かなままで終わる可能性は限りなく高い。 閑話