関連記事: 「神功皇后の三韓征伐」という大嘘 戦前(敗戦までの戦中を含む)の教科書では、神話をそのまま歴史として教えていた、とよく言われる。 これは、確かに間違いではないのだが、正確な表現とも言いがたい。 まだ国定化される前の、初期の段階の教科書では、確かにほとんど記紀のダイジェスト版のような内容を載せていた。たとえば、明治中期に使われた『帝国小史』(1893年)[1]は、こんなふうに「神代の概略」から始まる。 しかし後期になると、教科書の記述は近畿天皇家の正当化を目的としていた記紀の単なる繰り返しではなくなってくる。どのように変化したのか、「神功皇后の三韓征伐」説話の描写を例にとって、その違いを見てみよう。 こちらは前述の『帝国小史』(1893年)での描写。ほぼ日本書紀での記載をそのままなぞった内容となっている。 これに対して、皇国史観に基づく歴史教科書の、いわば最終進化形と言える『初等