「組織に忠実なものは、いつかは組織に裏切られると。忠実であればあるほど裏切られると」。映画「仁義なき戦い」などで知られる脚本家の笠原和夫は、自分に影響を及ぼした文学作品をこう語るのだが(注1)、日大アメフト部騒動を目の当たりにしたとき、そこに「組織に忠実なものが組織に裏切られる」構造をみる。 東芝社員が「虎の威」を借りたとき 反則タックルをおかした選手への追い込み方はこうだ。問題の端緒となる関西学院大学との定期戦の前日、井上コーチは「お前をどうしたら試合に出せるか監督に聞いてやったよ。“相手のQBを1プレー目で潰せば出してやる”ってさ。その通りの言葉をまずは監督に言いに行け!」(注2)というのであった。 山口組の顧問弁護士だった山之内幸夫は、ヒットマンとは「温もりの代償に人生を差し出」す者のことだと言い表した(注3)。行き場のない者に居場所を与えるなどしたのだから、殺ってこいというわけだ。